CHOCOLATE KISS
□洋助視点【完】
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来週からテストで、それで赤点取るとヤバくて、そればっかりが頭にあるから、すっかり忘れてた。
「洋助さん、俺にチョコくれる?」
不安そうに問いかけられて、はぁ?と、思わず声がでた。
「何で俺がお前にやるんだよ」
それがオレにとっては当然の疑問。
お前が寄越せよ、年下だろ?
「オレは男だからやんねえよ」
つい口にする。
すると慎也はムッとして、オレを邪険に突き放す。
今までにない、かなり怒った顔に、オレはビックリして言葉が出なかった。
なんでそんなに怒るんだ?
「…そう」
そう呟き、俺に背中を向けて、その後は無言。
おいおい、俺が悪いのか?そうなのか?
でも、オレの疑問も当然じゃねぇ?
だってコイツはオレより年下なんだよ?
何でオレが尽くすような真似しなきゃなんないんだよ。
オカシイだろう。
でも、漂う空気が重くて、オレは居心地の悪さを感じた。
いつも通りに、慎也から謝ってくるだろうと、放っておいた。
部屋にある雑誌を適当に開いて、何気なく慎也に神経を向ける。
謝ってきた時の事を考えていた。
素直にいいよ、って言ってやろうか?
それともふて腐れてやろうか。
そっちの方が後で優しいから、ふて腐れるかな?
などと考えていたら、慎也は意外な言葉を吐いた。
「ひとりになりたいから、帰ってくれる?」