CHOCOLATE KISS
□洋助視点【完】
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それはいつも通りに、アイツのウチに遊びにいった時の事だった。
オレは慎也の背中によしかかったまま寝てしまった。
春飯をそこで食い、腹が膨れて眠気に負けてしまった。
昨日はテスト勉強で遅くまで起きていたせいだろう。
週が空けたらテストがある。
オレ、次赤点とったらマジにヤバいから…
だから、必死こいて勉強していたんだ。
いくらおバカちゃん学校とはいえ、連続赤点は厳しいぞ。
本当なら、テスト前だからしばらく会えないなって話してたんだけど、オレ達高校違うし、ゆっくり会えるのは週末しかないから、オレ慎也の会いたかったから、無理矢理来てしまった。
なのに寝ちまって…
コイツの体温は温かくて気持ちいいんだ。
オレ寒がりだから、慎也に触れてると、体も心もポカポカになる。
そんな時に幸せを感じる。
本当なら抱きつきたいけど、そんな事は出来ない。
こっぱずかしいだろ?
だから、今回のは不覚って奴だ。
オレが気が付いたら、慎也の腕の中で、床に転がってた。
え?と思った時には、やたらと顔が近かった。
「ねぇ、洋助さん」
甘さを含んだ、低めの優しい声。
触れそうな慎也の唇が当たる度に、体がブルってなって、訳の分からない感情が沸き上がってきた。
―――もしかしてヤられちゃう?
そう思った瞬間、自分でない自分が何処からかやって来た感じがする。
慎也は言葉を続ける。
「もうすぐバレンタインだよ?」
言われて、はたっと思い出した。