七つの世界のかけら
□第一章
2ページ/12ページ
男の観察は続く。
少年の容姿は、特質すべきものはない。
黒の髪は、あえていうなら特質になるのかもしれない、ここまで黒いのはそう滅多にないだろう。
しかし、それ以外は至って普通だ。
しかし、この小さな体は好事家の目に止まれば、高値が付くかもしれない。
小さな手も、小さそうな口も、少年趣味の奴等には垂涎のモノだ。
そこで始めて男の口はしがくいっと上がった。
何処かぞっとする笑みだ。
(いい拾い物じゃねぇか、こいつを売ったら屋根の修理代くらいにゃなんだろう)
と、そこで男の思考は止まった。
正確には、外に意識が向いたのだ。
―――誰だ。
誰かが、男の棲みか周辺をうろつき回っている。
何か探している様な。それでいて落ち着きがない気配がする。
男は息を殺し、気配を消し、ゆっくりと腰に下げていた剣にてをやる。
獣ではない。
明らかに二本足だ。
同じ人間である事が解っても、男は警戒を解かない。
片手で剣を抜き、片手でドアの取っ手を掴む。