七つの世界のかけら

□第一章
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男の観察は続く。

少年の容姿は、特質すべきものはない。

黒の髪は、あえていうなら特質になるのかもしれない、ここまで黒いのはそう滅多にないだろう。

しかし、それ以外は至って普通だ。

しかし、この小さな体は好事家の目に止まれば、高値が付くかもしれない。

小さな手も、小さそうな口も、少年趣味の奴等には垂涎のモノだ。


そこで始めて男の口はしがくいっと上がった。

何処かぞっとする笑みだ。

(いい拾い物じゃねぇか、こいつを売ったら屋根の修理代くらいにゃなんだろう)


と、そこで男の思考は止まった。

正確には、外に意識が向いたのだ。
―――誰だ。


誰かが、男の棲みか周辺をうろつき回っている。

何か探している様な。それでいて落ち着きがない気配がする。


男は息を殺し、気配を消し、ゆっくりと腰に下げていた剣にてをやる。


獣ではない。
明らかに二本足だ。

同じ人間である事が解っても、男は警戒を解かない。



片手で剣を抜き、片手でドアの取っ手を掴む。
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