七つの世界のかけら

□序章
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先程の声のお陰で、平静を保った光輝は、改めて自分の状況を確認する。


墜ちてる。それは間違いない。

では、何処へ?
まだ確認が取れないが、マンホールじゃないのは確か。
こんな深いマンホール、町内処か世界で話題にならない筈がない。

だから何処へ?

「それが判ったら苦労はないよな〜」

自嘲気味な軽い笑いを浮かべ、はぁと溜め息を吐く。

この穴には所々に光が洩れていた。

色は雑多だが、ほぼ小さい光だ。

闇の中だが、眩しい感触はない。


「あぁ、アリスのもこんな感じに墜ちたのか!」

突如浮かんだ世界的童話の冒頭シーン。
まさか自分で体験するなんてなーと、呑気に口にする。

この辺りが光輝の神経の太い処だ。


こんな現実ではあり得ない状況を楽しみだした。

学校どーしょ、洗濯カビるかなー、等と、おかしな今を無視する方向で思考が動き出した。



どのくらい墜ちただろう。



すっかり馴れた光輝はうとうとしている。
自分を取り巻く空気の感触が眠気を誘う。

が、



突如、眩しい程の光が体を包む。


―――!!!!


さすがに馴れた筈の彼でも、この襲いかかるような光にバニックを起こした。


「な!なな!っ!!」



光に飲み込まれ、光輝の呑気に落下の終止符が打たれだ。


許容範囲を超えた眩しさに、光輝は意識を飛ばしてしまった。
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