七つの世界のかけら
□序章
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毎朝の恒例の様に、光輝は走って登校する。
成績が下がらないように、援助してくれる父の親友の叔父さんの期待を裏切らないように、毎日遅くまで勉強する為、なかなか朝が起きられない。
今日も予定より30分遅く起きてしまった。
―――急がないと!
逸る気持ちが何時もと違う光景を見逃した。
まさか、マンホールの蓋がずれてる何て…
まさか、そこに器用に墜ちる何て…
光輝が地面を蹴った瞬間、がごっと蓋がずれた。
「っっっ…!!」
言葉にならない叫び声を上げて、光輝はマンホールのぽっかりと空いた穴に吸い込まれた。
脳裏に走馬灯の様に流れる風景。
優しかった父の事、記憶が薄らいでいた母の事、自分の子の様に面倒見てくれた叔父の事。
そして学校に通う楽しさを教えてくれた友達。
『ごめんなさい!』
『こんな下らない事で死んでご免なさい!』
『短かったけど楽しい一生でした!』
落ちながらそんな事を考えていた。