玩具友達
□いつもと違う
1ページ/4ページ
学校の屋上にこうして腰を落ち着け空を見上げていると、吸い込まれそうな浮遊感を味わう。
高いフェンスさえも、座る角度によっては視界に入る事もなく、まるで雲の上に座っているような、錯覚さえ覚える。
駿輔はこの風景が好きだ。
こんな風に、空と一体になれるのは、学校の屋上くらいしかないし、天気の良い昼時の心地よい風を感じるのが、この上なく好きなのだ。
加え、人間の三大欲求のひとつ、食欲が今は満たされている。
満腹感と浮遊感、今幸せかと問われたら、即答で幸せだ、と、答えるだろう。
そして、腹が満たされ、今は睡眠欲という欲求で意識がぼやけている。
が、そう簡単に落ちる訳にはいかない。
しょぼつく目を必死に閉じまいと、時折頭を軽く振り、眠気を飛ばす。
原因は隣に偉そうに座っている男。
クラスメートであり、よく酒を酌み交わした悪友。
それが、ひょんな事から体の関係に発展してしまったのだ。
知己―――それが、この男の名前。
先日、売り言葉に買い言葉で、男からの快楽を味わってしまった。
たとえそれがペッティグで終わったとはいえ、女の味を覚える前に、同性から与えられる快楽を知ってしまったのだ。
厄介な事に、駿輔はそれに溺れそうになった。
欲求のひとつが解消され、また別の欲求は満たされず、残るひとつの欲求が頭をもたげる。
最後のひとつは――――性欲。
まあ、男のとってのセックスは主食って言うしな。
知己によって与えられた快楽は、厄介にも今でも駿輔の中で燻っている。
そして、それを何処かで求めているのも事実。
現に今でも、思い出すだけで体が熱くなる。
ひとりでいても、またそれを味わいたく、自慰に及ぶが、その絶頂感は雲泥の差で、逆に求める欲求の苛まれる。
また触れて貰いたい、あの、呼吸が出来ない程の波をまた、芯で味わいたい。
留まる事のない性欲に、駿輔は軽い恐怖すら感じる。
下手に知己の呼吸にすら意識が向き、渦巻く熱の放出方法に戸惑う。
、