七つの世界のかけら
□第二章
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ここはドグラ・アグタと呼ばれる国。
いくつかある国のひとつ。
この世界は人が自然と共に生き、様々な亜種も暮らす。
火、水、風、土、光、闇の6人の精霊の加護を受け、この世界は成り立つ。
魔法は精霊の力の一部を、己の肉体の一部と引き換えに授かる。
「ですから、この世界の魔術師の多くはいずれかの属性の精霊の魔法を使い、腕がなかったり、盲目だったりするのです」
だがまれに、五体満足で魔術を使うものがいる、それが『尊きお方』。
キーファが暮らす小屋から、しばし歩いた処に“泉”に使える水場があるという。
ので、3人は歩きながら、ついでに光輝にこの世界のついて説明する。
「じゃ俺は珍しいの?」
自分は体の欠けた所はない。が、どうやら魔術が使えるようだ。
ただ、どうやって発動するか、コントロールの仕方は、さっぱり分からない。
「わたしが分かる限りで申し訳ないですが…」
と、前置きした上で、ラングルドは答える。
『尊きお方』の発動基準については解らないが、どうやら精霊の加護を受けての魔術ではないらしい。
だが、「それはあくまでも仮定の話で、本当がどうなのかは誰も解りません」
と、すまなそうに話す。
それでも、光輝にとっては、自分が何者かの一端が分かる内容には代わりない。
きっと、アーヴェンヘイルって王様に会えば全てがはっきりしてくるのではないか、そう期待している。
何故なら、
「陛下は魔術の研究に力を注がれてます」との、ラングルドの言葉。
なんでもこの、ドグラ・アグタはその昔、『尊きお方』によって築かれた国との話があり、その関係で王都では魔術研究が盛んに行われているのだそうだ。
そして、その陣頭指揮に立っているのが、アーヴェンヘイル陛下なのだという。
「今から使う“泉”も、研究により、簡易的に使える様になったもの何です」
そう話し、ラングルドは腰の道具袋から、七色に輝く小さな石を取り出した。
「簡易版の魔力を凝縮したものです。片道にしか使えませんが、澄んだ水場に投げ入れて使います」
「じゃ、ラングルドはそれでこっちに来たの?」
光輝は素朴な疑問を聞いた。
それに対し、えぇ、と、優しい笑顔で返した。
「そういえば、何でお前はこっちに来たんだ?」
ふたりから少し後ろを歩きながら、会話に入ってくるでもなかったキーファが、突如、ラングルドに投げ掛けた。
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