CHOCOLATE KISS
□慎也視点【完】
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俺は一体、洋助さんのなんだろう?
俺たち付き合ってるよね?
少なくとも、俺はそのつもりだったけど、違うのかな?
ちょっと、自信がなくなってきた…
洋助さんは、女子にもてないのを気にしてるけど、当たり前だ。
外見は普通で、あまり目立つ訳ではないけれど、ふとした仕草が可愛いんだ。
下手な女子より、動きはキュートで、女なら、そんな彼の隣に並びたいとは思わないだろう。
それが、丸顔で、ちょっと垂れた大きな瞳にマッチして、笑うと、トロンと音がするんじゃないかって位に蕩ける。
それが余りにも可愛くて、ついつい甘やかしてしまった。
それなのに、本人は『漢らしく』を目指しているものだから、そのギャップがますます可愛いんだ。
本当にこの人は…
それに、なんて無防備なんだろう。
あなたのその、可愛い態度に、俺はどれくらいヤキモチを妬いてるか知っている?
この人がうちの男子校で、とう扱われてるか知ったらどうなるんだろう?
アイドルだよ?
隠し撮りとか出回るんだよ?他校生なのにさ。
うちの高校には、いくらでも洋助さんより可愛い子がいるのに、一番人気何だよ?
原因はこの人の性格。
意地っ張りで、甘えたがりで、ハムスターみたいに可愛くて、でも、必死に男を主張してさ。
みんな、このメチャクチャなギャップにヤられてる。
他校でここまで人気があったら、洋助さんの高校ではどうなんだろう?
いくら共学でも、男だっているんだから。
もう、考えただけでもイラつく。
俺の名前は岡野慎也。
16歳。
市内の男子校に通ってる。
偏差値はそこそこ高い進学校で、俺はそこの1年生。
洋介さんが通う共学の高校は、意外に近所で、駅ひとつ分離れているだけ。
俺たちが初めて逢ったのは、俺の高校入試前。
友達と下見に来た時。
その時に迷って、またまた会った洋介さんが、案内してくれた。
憶えてるかな?
俺は可愛くて、小動物みたいな洋助さんに一目惚れしたんだよ。
男だって分かってても、気持ちは止まらなかった。
むしろ、勝手に先の事を考えて妄想していたんだから。
願書出す前に出会ってたら、間違いなく同じ高校に通ってたね。
どんなに妄想膨らましても、無理だって、あり得ないって自分の言い聞かせても駄目だった。
たった一度会っただけの人に、全て奪われた感じだった。
夢の中では、何度もキスをして、甘い鳴き声聴いて、勿論それ以上だって。
だから、洋助さんに再会した時は、頭の中で勝手にチャペルの音がして、運命勝手に感じて…
再会は一ヶ月後。
洋助さんの知り合いの女子が、俺の告りに来た付き添いだった。
『ごめん、いいか?』
って、話し掛けられて、もう有頂天!
付き添いに男子に声かけるか普通、なんて突っ込みが全く浮かばない。
その子とは、何回かエッチしてあげた。
洋助さんを連れてきた感謝でね。
酷いヤツと思わないで欲しい。
俺にとって、洋助さんはそれくらいに大事な人なんだから。