七つの世界のかけら
□第一章
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いつもと変わらない風景。
いつもと変わらない空気。
だが、いつもと違うものがそこにある。
それを目視で確認し、舌打ちをする。
元来自分の領域を侵される事を好まないこの男は、人と馴れ合うのを嫌い、わざわざ人里離れた森を棲みかとしている。
必要最低限にしか人と関わらず、必要最低限の生活を好む。
それが、今は違う。
領域を侵されたのだ。
空から降った少年に。
その少年は、随分と奇妙な格好をしている。外見は勿論だが、なんと形容すべきなのか判らない。
ごわごわと動きにくそうな濃い紺地の上着に、白のバリッとした襟つきの下着。
首には濃い紅色の細い布が縛られている。下半身は、これまた動きにくそうに、しっかり折り目の付いたズボンを履き、腰のベルトは固そうだ。
足には紐が巻き付けてあるんだかよく判らない形の、青の柔らかそうなブーツ。
(待てよ…?)
ふと見ると、青のブーツの中に更に白のブーツが履かれている。
中のブーツは見知った素材だが、その他はどうだ。
知らない質感の物ばかりだ。