よろずBook

□携帯獣
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見つめないでいてほしい。
笑いかけたりしないでほしい。
夢の中まで出てこないでほしい。



オレは、叶わない恋をしている。












「なぁシルバー……好きだよ…」





横たわるシルバーに馬乗りになるオレ。ベット脇のテーブルには睡眠薬を入れたコーヒー。起きた時抵抗されたら困るからなんて理由で手枷をしてみたりして。そっと作り物みたいなシルバーの顔に触れみた。心の中にくすぶっていた想いに気づかなかったわけじゃない。ただ、気づかないふりをしていただけで。




どう足掻いたって受け入れてもらえない可哀想なオレの想い。助けてとも言えない、想いに応えてなんてもっと言えない。思い出す度に霞んでいく視界、ぼやけてシルバーの顔が見えなくなる。生温い液体が頬を伝っていくのを他人事のように感じた。








「好き、好き、好き、好き…好きなんだよ…っ」








顎のラインから首筋へ、首筋から今も動いているシルバーの心臓の上へと指を滑らせる。この中に、オレという存在を刻み付けることができたらどれほど幸せだろうか。オレじゃ無い誰かに向けられるその想いが、オレに向いたら。この胸の痛みをシルバーも知れば良いのに。何気ないシルバーの行動に、どれほどオレが震えたか。焼けつくような、凍てつくような、泣きたいような、笑いたいような、ぐちゃぐちゃな気持ちをシルバーにも味あわせてやりたい。











「なぁシルバー?好き、好きだよ。お前が好きで好きで堪らないんだ。男から好きなんて言われても気持ち悪いだろうし、幻滅するとも思う。でも、オレはもうお前を愛してるみてぇなんだ。お前が笑うと嘘みてぇに嬉しくて泣きそうになるしお前がブルーさんの事を楽しそうに話してると気持ち悪いくらい嫉妬しちまう。もう前みたいにはいられないんだ。いつまでもダチ公でいられれば良かったのにな。クリスと三人でただバカやったり、今度こそレッドさんに圧勝するために修行したり、バクたろうやトゲたろうと一緒に昼寝したりさ、んで…なんでこんな…っ……好きなんだっ…」






最初は夜這いでもしてやろうかと思った。そうしたら、シルバーは絶対にオレの事を忘れないから。どうせ関係が壊れるなら虚しくてもシルバーが欲しいと思った。でも実際そんな事は出来なくて。オレはシルバーの鼓動を聞きながら、ただ「好き」と言って涙を流すしか出来なかったんだ。












「ん…ゴールド?」



「てめぇよぅ、毎回毎回人放って寝てんなよなー」



「…すまない。なんかお前、目が赤くないか?」



「目が赤い?オレとレッドさんを見間違えるたぁ、相当寝ぼけてんな。ちょっと顔洗ってきたらどうだ?」



「そうか、じゃあそうさせてもらう」



「タオルは後ろに掛かってるかんなー」














ごめん、やっぱり好きだよ。









end.




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ジャンヌの金剛石処女(違)をBGMにしてたら救いの無い話になりました。


ゴールド苛めも大概ですね、申し訳ないですw
好きな子ほどいじめたいというか…
どうも幻灯は切ない系とか書きやすいみたいです。ちなみに幻灯は絶対にクリス絡みの横恋慕は書かないつもりでいます。クリスは私の嫁だ、ゴールドにもシルバーにもやらん!←

三人にはやっぱり幸せでいて欲しいんだ…一応ハッピーエンド主義者なので。え、説得力皆無?気のせいです。


2010.08.08 幻灯
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