よろずBook
□携帯獣
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オレはこの危機的状況を打破できるなら一ヶ月間あの麗しきギャル達と会えなくなってもいい、本気でそう思っている。
このサイトに来ている妄想力豊かなお姉さまorお兄様ならお察しできるかもしれない。オレゴールドは、ライバルであるはずのシルバーに押し倒されるという屈辱的かつ絶体絶命な状態にあるのである。
別に殴り合いの喧嘩をしていてこうなった訳でもなく、ただオレの部屋でゲームをしていたら突然衝撃を受けて押し倒されてしまったのだ。オレとほぼ変わらない体格の(身長はオレの方が高い)はずなのに全くと言っていいほど抵抗出来ないのが癪にさわって思わず皮肉めいた言葉が出る。
「シルバーちゃん、これ何の冗談?全っ然、笑えないんだけど」
悲しきかなシルバーを睨むしかできない今のオレにシルバーはいつもの仏頂面で答える。あぁもう、髪が顔にかかってくすぐったい。さっさと切れ、坊主にしろ。
「特に意味は無い、何となくだ」
「なら早く退け!重いし髪がくすぐったい」
「…断る、中々良い眺めだしな」
少しの間を置いて帰ってきた返事はオレに頭痛を覚えさせるのには充分な内容だった。
「何が楽しいんだ?野郎は上から見たって下から見たって野郎だろうが」
長い付き合いだ、シルバーの思考回路がオレには理解しかねるものだという事もよく分かっている。若干諦めの色が出てきたオレにシルバーは一頻り考えるようにして首をかしげた。髪の毛は相変わらずくすぐったく、笑いそうになるがどうにも笑ったら負けだという意味不明な意地が出てきたので我慢と無視をきめこむ事にした。よくよく見てみれば整っているいるシルバーの顔立ちは見ようによっては少女にも見えるかもしれない。そういやこいつはモテるんだったと今更ながら思い出す。
「お前の目が、」
「は?」
ぽつりとシルバーが溢した言葉はよく分からない行動にお似合いのよく分からないもので。オレの目がどうしたのだとまた疑問を返せば既に答えは出ているのか納得したような表情をしているシルバーは口許に笑み(爽やかなんてもんじゃない、極悪なヤツだ)を浮かべて言い放った。
「お前の目が俺をうつすからだ」
…聞くところによると、ゴールドという名前に違わぬオレの金色の目はシルバーのお気に入りらしい。まぁオレの瞳だから美しいのは当たり前だけどな。
「そんだけの理由?」
「あぁ」
「……下らないな、さっさと退け」
大きな大きなため息を吐いてからシルバーを見つめて退けと言う。途端に曇った表情を隠すこともせずシルバーはオレを睨む。
「オレの瞳にうつってたいんなら、わざわざこんな事しなくたっていつも隣にいたら良いだろーがよ」
なんか文句あんのか?と更に言えば拘束は解かれた。オレが痺れている手を振って感覚を戻している中、シルバーはなんとも複雑そうな面持ちでこちらを見ていた。
「それ、どういう意味で捉えたら良いんだ?」
「何を?」
「その…、さっきお前が言った事は取りようによってプロポー…おい、コントローラーは投げるなよ?」
シルバーに指摘されて無意識のうちに構えていたコントローラーを下ろす。
「プロポーズ…?いや、無い無い絶対無いから、気のせいだうん」
「その顔で言われても説得力が無いぞ」
「うるさい!あり得ないから!」
一番あり得ないのは熱を持って赤く染まっているであろうオレの顔と、シルバーとの会話に全く嫌悪感(驚きはしたが)を感じなかったオレ自身だ。
──これは、大変よろしくない事態だぞ
この日から、猛烈すぎるシルバーからのアプローチを受ける事になるのだった…。
end.
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最後の方は収集つかなくなりました…
もう内容がワケわからんですね、分かります
ただシルバーに押し倒されるゴールドが書きたかっただけなんだ…
2010,07,10 幻灯