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□その他
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──全ての死者が平等に行き着く先『冥界』──










珍しくサボらずに仕事をしている閻魔に少しばかり優しげな鬼男。
いつもの殺伐とした空気は影を潜め、今日は平和だなぁ…と獄卒達が内心ほっとしていた時の事だった。












「ハイ、君は地獄。罪はキチンと償ってねー。」
「これで午前は終了です。お疲れ様でした。」
「ん〜…はぁー…疲れたぁ…」
「まぁ、昨夜はお楽しみでしたもんね。寝てないんでしょう?」












お茶を差し出しながら鬼男が言った言葉に、部屋の中にいた獄卒達が違和感に、ん?と首を傾げた。
閻魔の恋人は他ならぬ鬼男である。そして鬼男はそういった行為について話すのを好まないはず。閻魔がつい口を滑らせた時、鬼男が顔を真っ赤にして閻魔を刺していたことは記憶に新しい。












「え、鬼男君今なんて?」
「ですから昨日はお楽しみでしたもんね、と。毎回毎回あんな綺麗なお嬢さん、どこで引っかけてるんですか?」
「…なーんだ、またバレちゃってたんだ。」











"これは明らかにヤバイ話だ…!"










ここで獄卒達の心は1つになる。いずれ起こるであろう惨劇を前に、逃げる体制を整えておかなくてはならない(みな巻き添えは喰らいたくないのだ)。会話からするに、閻魔の浮気はこれが初めてでは無いらしい。悪いと思っていないのか軽い閻魔の態度に獄卒達は怯えながら様子をうかがう。が、












「当たり前です、香水の香りはするし長い髪は落ちてるし、アンタ堂々とし過ぎなんですよ。」
「えー、一応掃除も換気もしたよ。鬼男君ってば探偵出来るんじゃない?」
「ホントに…バレるような浮気はするなと何度言ったら分かるんですか。」
「ごめんねー。」
「次からはリ●ッシュくらい使いなさい。あとコレ、ピアス落ちてましたよ相手の方の物じゃありませんか?」

「あー多分そうだと思う。」
「返しておいて下さいね。」
「りょーかい。あ、鬼男君なんかおやつ無いー?お腹空いちゃった。」
「そういえば頂き物の最中がありましたね。今持って来ます。」













獄卒達の緊張など露知らず、鬼男と閻魔は世間話をするかのようなノリで会話を終えた。何も起こらなかった安心感と、え、何今の会話何かおかしくない?という疑問を抱えたまま、獄卒達は仕事を再開する。
閻魔はそんな獄卒達を見ながら浮かべた笑みを湯呑みで隠し、呟いた。













「…こういう関係が一番しっくりくるんだよね。」








遠くに最中を乗せたお盆を持つ鬼男が見えた。





end.




■■■■■■■■
日和の天国組好きです、もちろん飛鳥細道も好きです。


補足をすると、
この天国の二人は物凄く長い付き合いだから色々悟ってる所がある。お互い愛はあるけど束縛はしない。
浮気癖のある閻魔とドライな鬼男。


この二人なら鬼男消失設定でも
「僕消えますんで。」
「ん、いってらっしゃーい。」
で済ます気がする(笑)


妄想サーセンw

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