*当主の部屋*
□ThePrinceOf☆KNIGHTB
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■3ページ■第三章
「んふっ。これは予想外ですね…」
胸元のポケットから綺麗な扇子を取り出した。
「気をつけろ越前。」
「何にっすか?」
「あの扇子だよ。」
武器…って事か。
不二先輩のほうを見ると、微笑んで観月を見ながらこう言った。
「観月はあの扇子から様々な魔法を使ってくる。
特に有名なのは自分で作った睡眠薬の粉をその扇子で風に吹かすっといった戦法。
それだけだと魔法じゃないって思う人も多いだろうけど…実際はあの扇子で風を操っているんだ。
彼はどこにいる敵にでも風を命中させる…意思的にね。」
「長い説明ご苦労様でした。」
観月が一礼をする...。
しかし、風が相手であれば…うかつに近づくことも…停止することも出来ない。
「越前、二手に分かれるぞ。かたっぽが囮になるしかねーみたいだ。」
「…で、どっちが?」
「お前」「桃先輩でしょ?」
…このままじゃ言い争うで終わる;
なんて考えてると…不意に。
………殺気?
「桃先輩、右!!」
「おわっ!!」
右下から切り上げられた剣は桃先輩の右腕にヒットした。
「くっ…なんだ!お前!!!」
「ゆ…裕太。」
「不二先輩?」
不二先輩がおかしい…。
いつもの冷静さがなく、震えている。
そして、涙を流していた。
「んふっふっ。」
観月の笑いが伝わってきた…。
待ってましたっと言ってるかのように。
「不二先輩?!どうしたんっすか!」
俺は嫌な寒気がした...
なんとも言えない…この感じ。なんだ。
「ゆ…裕太は………僕の…弟だ。」
不二先輩が…かすかな声で答えた。
そして…
「死んだ…ね。」
観月が続けて答えた。
不二先輩の死んだ弟…?
それが…『不二裕太』
「なんで…なんで……」
崩れ落ちる不二先輩を抱き抑えた。
「…この勝負。」
「あぁ。」
「一筋縄では行きそうにないっすよ。」
「わかってるよ。んな事。」
「俺が…不二先輩の弟さんの相手するっす。桃先輩は…」
「観月…だな。」
桃先輩が大きく息を吸って先ほどの傷のトコに荒く、大雑把に包帯を巻く。
「行きますかっ」
続く…