*当主の部屋*

□プレゼント☆
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涙とともにどこかへ消えた睡魔(そして心に開いた穴)

「雲雀の誕生日って5月だよね」

「うん」

「どういう風に祝ってほしい?誕生日」

「僕は別に誕生日を祝ってもらわなくていい」

「なあんだつまんないの。でもあたしはね、」



花いっぱいの花束持って、0時ぴったりに祝ってくれたらすごくうれしいかも。



「…」



誕生日は年に1度しかない自分だけの記念日。
でもあたしにはお父さんしかいない。おまけに、お父さんの仕事は忙しいから、しょっちゅう家にいない。あたしは、いつも1人。1年にお父さんが家にいる日よりも、いない日を数えた方が早い。だから、自分だけの記念日を自分1人で祝う。
あたしは友達に自分の誕生日を言ってない。自分だけの記念日を、他の人に祝ってもらう必要がないと思う。あたしは、誕生日を1人だけで過ごす。お父さんはあたしの誕生日を忘れている、覚えていない。だから、1人だけの娘の誕生日にも仕事で家に帰ってこない。でも、もう慣れた。小さい頃から、こうだったから。

カレンダーを見ると、今日は自分の誕生日の前日だった。今年も、1人で祝うのか…。そう思って、テレビに視線を戻す。夕食も、お風呂も、歯磨きも、もう済ませた。テレビの向こうでお笑いコンビが大爆笑している。あたしも、そのネタを見て思わず笑う。でも、心は笑ってない。
時計を見ればもうすぐ0時。日付が変わる。つまり、あたしの誕生日がもうすぐ。リビングの電気を消して、自分の部屋に向かう。誰もいない、リビングに「おやすみなさい」と告げた。返事は、ない。階段を上って、ベットに入る。冷たく冷えたベットに足を忍ばせると、冷たかった。我慢して、身体をベットに倒した。ぼーっと天井を見る。時計の秒針が時を刻む音だけが、部屋に響く。



ピンポーン…



こんな時間に誰だろう。もう、外は真っ暗なのに。そう思いながら、玄関に向かう。もう睡魔が襲い始めているから、目をこすりながらゆっくり階段を降りる。リビングのソファーに置いてあったカーディガンを羽織って、玄関を開けに行った。そこに立っていたのは、たくさんの花束と、人影。



「…」

「…」

「ひ、ばり…」

「…君が出てくるの遅いから0時0分に38秒も遅れたじゃないか」

「は、」

「今日、誕生日でしょ。君の」



そう言って雲雀はぶっきらぼうにあたしへ花束を差し出した。



花いっぱいの花束持って、0時ぴったりに祝ってくれたらすごくうれしいかも。



あの時あたしがポロッとこぼした言葉を、雲雀はしっかり聞いていたんだ。涙が、あふれた。



「いらないの」

「い、るっ…」

「ねえ、寒いからさ、家入っていい」

「…うん、」



あたしを襲っていた睡魔は、涙とともにどこかへ消えた。





12/04 Happy birthday! RENKA!!

〜〜志代からの貰い物〜〜

マジ、雲雀さん大好き!
そして、書いてくれる志代も大好き!
素敵な誕生日をありがとう☆

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