いただきもの
□春花様
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Usual daily
「…暇だー……」
日曜日、この日は特に誰かと約束をしたわけでもなく、家族と出掛けるわけでも無かった。そんな俺はかなり暇だった。携帯でテトリスやらパズルやら脱出ゲームをやって見たけど、なんか満たされない。
「…うしっ、外に行くか!!」
自分を満たしつつ、暇を潰したい俺は久々に一人で歩こうと思い、財布と携帯を持って外を歩くことにした。
バスに30分位乗ったら、沢山の店が並んでいる通りがある。映画館やら喫茶店やら、友達と遊ぶには最適な場所だ。まぁ今日は一人でそこをぶらぶらと歩いてるんだが…
寂しい奴とか思うなよ。不知火とか宗像先輩を誘っても良かったんだけど、久々に一人で歩きたかっただけだからな。
(最近は生徒会の仕事が忙しくて遊べなかったしなー…今日くらいは贅沢しても良いだろ)
特に何かを買い求めて来た訳じゃないけど、もし一目惚れするような物があったら買っても良いかと、自分を甘やかす事にした。
しかし、今日に限って買いたい服や物が見つからない。いつもは欲しいものが沢山ありすぎて目移りばかりするのに…
暫く歩いてたら最近出来たと思われる洋服店があった。
(新しい店とか苦手なんだよなー…また今度にするか)
そう思った善吉だったが、ふと大きな窓から見えた金髪に目が止まった。
それは普段は学園でしかみない、あの後ろ姿。
「あんまり良いもの無いなぁ」
最近ここの通りに新しく洋服店が出来たと聞いて、久々に暇があったから見に来たのは良いが、あまり目星がつくようなものは無かった。
自分の趣味にあった店ではなかったのかと思ったけど、なかなか安価だし質も悪くないみたいだから、出来れば一着だけでも買いたいとも思う。
(まぁ無理に買うものじゃないんだけど…)
(この上着は似たような物もってるし、こっちのジーンズは俺には似合わない)
店内にある商品を一つ一つ見ていくけれども、何一つ心を揺さぶられるようなものは無い。
棚に丁寧に折り畳まれた洋服を見ていると、あるひとつの服に目を奪われた。
(これ、似合いそうだな…)
(そういえば、彼はめだかさんに白い制服より黒い制服が似合ってるって言われたって言ってたっけ)
(俺はそんなこと無いと思うんだけどなぁ…たしかに黒の方がぱっと見、格好良く見えるけど、彼はそれよりも…)
「先輩ってこういう服買うんですか」
後ろから聞きなれた筈の声が聞こえ、声のした方を見ると、いつもの黒い制服ではない格好をした後輩がそこにいた。
その後輩はジーンズと赤がベースの模様が描かれたTシャツ、上から七分丈のパーカーを着けていて、装飾品などは全くつけていないシンプルな格好でいた。
「あぁ、人吉くん。君も遊びに来てたのかい?」
「暇を潰しに来てたんですけど、窓から先輩が見えたんで声かけておこうかと…それ、先輩が着けるんですか?」
「ん?あ、これ?」
彼は苦笑いしながら「先輩にそれはちょっとあわないんじゃ無いですかね」とか言っていた。まぁ、確かに俺にはこの服は無いだろうね。
「君にピッタリだなぁって思って」
「…俺?」
「うん、人吉くんに」
俺が手に持っていたのは、白のTシャツに「Usual daily」と濃い緑で書かれている。
彼はそのTシャツをみて「…嫌いでは無いですよ」とぼそりと呟いた。
彼の一言で俺はようやく買うものが決まった。
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(何でもない日常)
春花様より相互記念に小説を描いていただきました^q^
難しいお題を言ってしまってすみません><
これからもどうぞよろしくお願いします!!!!