Asaheim2

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まず最初に見たのは、車を運転していた人の姿だった。
彼は死んでからも激しく後悔し、その強い思いが彼をこの世につなぎとめていた。
芽衣はそんな彼が不憫で仕方なかった。だから一つだけお願いをした。
誰か一人、この世の人間を助けてほしい。助けることができたなら、私はあなたを許す……と。
彼は大きく頷き、消えていった。それ以来、姿を見ていない。

「その……死後の世界はどうだった?」

小さく呟く八雲。彼の質問に芽衣は苦笑した。

「正直分かりません。それにたった2分ですよ?カロンの導きを受ける前に、この世に引き戻された身ですし……。」

冥府の河の渡し守、カロン。ギリシア神話に登場する、神に準ずる存在。

「それもそうだな……。じゃあ、何か変わったことは……?」

赤いままの瞳が芽衣へと向けられる。
八雲になら、言ってもいいかもしれない。
私たちはある意味、同類。
死者の思いが『見えてしまう』体質。
ピンと空気が張り詰める。
芽衣は口を開いた。

「八雲先輩、先輩は赤い瞳のせいで、死者が見えると言いました。私も……見えるんです。死者の魂が……。」

「………え?」

八雲の目が、これでもかというくらい、大きく開いた。






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