村の方針で、エミールとカイネは村の外で野宿することになってしまった。
二人とも、村を救った人たちなのに……だ。
村のみんなは、本当は感謝している。でも、やっぱり二人は人間とは違う……。
カイネは半分マモノだし、エミールは……。
仕方ないと思った。
その時、ポポルさんがふと小さく呟いた。
「それから……リリィなんだけど……彼女も村の外に出てもらってもいいかしら?」
「……え…?」
他に言葉が出なかった。
リリィはこの村で育った。村の人も、みんなリリィのことを知ってる。知ってるはず……なのに?
「ポポルさん、何言って……。」
「はい。わかってます。私はもう、普通の人ではありません。それに、私の家は5年前に潰れてなくなってしまいました。今更家を直そうというつもりはありません。」
リリィの強い眼差しに、頭がクラクラした。
「ポポルさん……何でですか!?確かにリリィは魔法が使えるようになった。だけど、それだけですっ!!リリィは何も変わっていない!!村のみんなだって、昔からリリィのことを……」
「………リリィ、ニーアに見せてやれ。」
ポポルさんに詰め寄った俺の腕を掴み、デボルさんが言う。
リリィは一瞬目を伏せてから、静かに両腕の袖をめくった。
両腕に巻かれた包帯を外した時、俺は自分の目を疑う。
彼女の腕には、赤い模様が刻みつけられていた。
「それは………」
「我らには読めぬが、言葉……のようだな。」
シロが横からリリィの腕を覗き込む。
今まで黙っていたポポルさんが口を開いた。
*