「その瞳……宝石みたいだね。とっても綺麗……。」
そう言って、少女が笑った。
向かい合う少年は戸惑っているのか、下を向いてぽつりと呟いた。
「そんなこと言われたの……初めて。でも僕は、この目のせいでユーレイが見えるんだよ……。そう言うと、みんな怖がる。君は怖くない……の?」
片方赤の瞳を持つ少年が問う。少女は笑って答えた。
「……怖くないよ。例え少し人と違っていても、あなたは私とおんなじ。笑って、泣いて、怒って……。どうして怖いと思わなきゃいけないの?それに、あなたが見えてるのはユーレイじゃない。あなたに見えているもの……それはきっと……人の想い……。」
少女の優しい眼差しと、あっけにとられる少年。
ふわりと少女が笑ったあと、少年に手を振り駆け出した。
「ごめんね、もう行かないと!!お母さんたちが待ってるの!!」
遠くなっていく姿に、少年は大声で尋ねた。
「待って!!名前、名前はなんて言うの!?」
「…黒川…………芽衣。」
苗字は聞き取れなかったが、かろうじて名前だけが聞き取れる。
彼も精一杯の声で叫んだ。
「僕の名前はっ、さいとうやくもっ!!」
少女に届いたかは分からない。でも振り返った彼女が、優しく笑った。
*