芽衣は久々に宮田の家を訪ねた。
恋人である宮田は、最近とても忙しく、病院でも滅多に顔を合わせることがない。
院長としての他に、神代の使いとしての仕事もしているのだから仕方ない。
それが分かっているから、芽衣は文句もワガママも言わないのだ。
そんな彼女に宮田が言葉を伝えたのは、つい昨日の出来事。
「芽衣さん、明日休みですよね?久しぶりに私の家に来てほしいのですが……。」
いつもの無表情を保ったまま、そう言った宮田に芽衣は喜んで頷いた。
そして、今に至る……。
チャイムを鳴らすと、宮田がすぐにドアを開けた。
いつもと違う、ラフな格好で彼女を部屋に招き入れる。
広い部屋は宮田好みのシックな家具が置かれており、綺麗に片付いていた。
以前ここに来たのはいつだったかと芽衣が考えている時に、背中から宮田の声がする。
「芽衣さん。ここ最近は忙しくて君にかまってあげられなかった。お詫びとして、プレゼントを用意した。」
「えっ……?」
予想外の出来事に、芽衣は目を大きくして振り返った。
突然、視界がピンク色の何かで埋まってしまう。
ふわりと柔らかい香りが花をくすぐった。
「これは……バラの花?」
彼女の視界をおおったのは、みずみずしいばかりのバラの花束。
視線をうつせば、普段病院では見れないような、穏やかな表情をした宮田がいた。
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