心地の良い夜だった。
窓を開け、本を読んでいると、ふわりと客が訪れた。
一匹の青い蝶。
月の光りを受け、ひらひらと踊るように飛ぶ。
まるで彼女……芽衣のようだと思った。
美しい姿がそっくりで、月の光が彼女には似合う。
青い蝶はまるで私を求めていたかのように、すぅっと肩にとまった。
私の肩で羽を休める蝶が、芽衣とだぶる。
彼女も疲れたときは、私の肩に頭をのせてもたれてくるのだ。
私は優しく問う。
君は蝶になって、私に会いに来てくれたのかと。
蝶はふわりと飛びはじめた。
静かに窓の外へと飛びだし、美しい月に向かってのぼりつめていく。
読んでいた本を閉じて、私は月を見上げた。
君もこうして月を見上げているのだろうか?
また明日会えるはずなのに、今すぐにでも会いたい……。
私も蝶になって、君の元へ飛んで行けたら……。
そんなことを考えてしまうくらい、私は芽衣を愛しているのだ。
fly me too.×