「式部清寿……さん?」
三上さんの部屋に響く綺麗な声を聞きながら、俺は書類に張り付いた写真を見ていた。
新しく第1のメンバーが追加されることになったのだ。
(女みてーな顔……。)
ぼーっとしながら履歴を読んでいく。
養成所を首席で卒業。技術面でも申し分ない。温和な性格で、誰とでもよく話をする……。
「ふーん……。」
俺の声に反応した芽衣がこちらを向く。
「なんか笑ちゃん、不満そうだね。」
不満そう?俺が?
「別になんでもねーよ。新人教育がめんどくせーだけだ。うちにはすでに、手のかかる問題児が一人いるしなぁ。」
ちらりと芽衣を見ると、俺の想像通り彼女がむくれていた。
頬をぷくっと膨らませ、俺をじっと睨んでいる。けどそれは、誘ってるふうにしか見えなくて……。
「なんだよ芽衣。俺を誘ってんのか?」
「ち……違うもん!!笑ちゃんなんてだいっきらい!!式部さんが来たら、笑ちゃんは悪い隊長さんって教えちゃうもんね!!」
べーっと芽衣が舌を出す。
感情豊かな芽衣を見てるだけで和んでしまう。
彼女の顔を見つつ、俺はさっきの式部清寿の写真を思い出し、こっそりため息をついた。
何となく、今度新しく来る新人は感情豊かじゃないような気がする……。
この部隊に、人形はいらない……。
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