夢@Asaheim

□幼なじみの領域を
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「響也、一緒に帰ろうよ。」

練習後、ひょっこり顔を覗かせた芽衣。
悠人がため息をつきながら、「本当に仲がいいですね」と呟いた。

「だって響也とは、幼なじみだもんね。」

その言葉に、俺は戸惑いを隠せなかった。
芽衣は気づいていないんだ。
俺の中でお前という存在が、幼なじみじゃなくなったことに。
俺の中での芽衣は、女として変化した。

「幼なじみ……か。そうだな。俺とお前とかなでは、いつも一緒だったもんな。」

笑ってみせる。
うまく笑えたかどうか分からないけれど……。
なぁ芽衣。俺はお前にとって、本当にただの幼なじみなのか?
もしそうじゃなかったら、さ……幼なじみの領域を、お前と二人で超えてみたい。
そう思うのは、俺のただの自惚れか。

「響也!!早く帰ろうよ!!」

「へいへい。分かったよ。仕方ないから幽霊屋敷まで一緒帰ってやるよ。」

この大会が終わったら、夏が終わる。
その前に俺は……。



幼なじみの領域を



超えてみせるさ。





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