夢@Asaheim
□幼なじみの領域を
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星奏に来たからって、特に何かが変わるとは思ってなかった。
勉強して、バイオリンを練習して、かなでと芽衣とでふざけあって……。
そんな日常は、気づけばなくなっていた。
今はもう、バイオリンが中心の生活。これはこれで嫌いではないけれど……。
ただ、変わったのは生活だけじゃなかった。
俺達幼なじみの関係も、少しずつだけど変化した。
主に芽衣に対する、俺の気持ちが……。
芽衣のバイオリンは横浜に来てから磨きがかかった。彼女のバイオリンは甘く歌い、誰か呼んでいるみたいだった。
そのバイオリンの音色は誰を呼ぶ?
律か?それとも別の奴か?
そんなことを考えるとイライラして、バイオリンの音が刺々しくなる。
いつもしない凡ミスを繰り返した。
確かに俺達は、いつも一緒だった。
一緒だったから、3人で星奏にも来た。
けど……かなでも芽衣も、自分の道を歩き始めたことを知る。
二人が俺から離れていくような感覚に、俺は焦った。
特に芽衣が、俺のいない場所で、他の学校の男と話していると思うと落ち着かない。
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