夢@Asaheim

□君は俺だけのものだって
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千尋・創一と皿洗いをしながら、なんとなくリビングのほうを気にしていた。
そこには恋人である芽衣ちゃんがいるし、要注意人物たちもいる。
祐介、翔吉、それからいつもならすぐ部屋に戻ってしまう文太まで……。
彼らは楽しく話をしているようだった。
一体何の話をしてるのか……。気になって仕方ない。
手の中にあるお皿が、うっとうしく感じられた。

「ねぇ芽衣ちゃん。今度俺とデートしよ?」

祐介のそんな声が聞こえて、危うくお皿を落としそうになる。
聞き耳をたてると、芽衣ちゃんが苦笑ぎみに断っているのが聞こえた。
祐介が残念そうに、「ちぇ」っと言う。
よかった……。祐介に芽衣ちゃんをとられなくて……。

ホッとしたのもつかの間。今度は翔吉が芽衣ちゃんを誘う。
どうやら翔吉は、今度の日曜に友達とバーベキューをするらしい。
駄目だ翔吉。今度の日曜は、これから俺が芽衣ちゃんに予定をいれるんだから!!!

そんな言葉が堂々と言えるわけなく、俺は芽衣ちゃんが承諾しないことだけを祈った。
芽衣ちゃんは翔吉の誘いを断ったようだ。心の中でガッツポーズをしてみせる。
しかしここで油断してはいけない。この話の流れだと、そろそろ……

「ちょっとちょっと文ちゃん!!!芽衣ちゃんの膝に頭乗っけて何やってんのっ!?」

「文太さん、ずるいです!!!」

「だって……眠いし、芽衣あったかい……」

俺はたまに、文太が策士だと思う。
リビングでは文太と芽衣ちゃんを離そうとしている様子だ。
気になって、洗っていたコップが滑り落ちそうになった。
心臓の嫌な音が、ドキンドキンと自分の中で響く。


***
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