夢@Asaheim

□絶望 対 .....
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「芽衣、分かってるだろうけど、俺さ……美耶子との約束を守らなきゃいけないんだ。」

薄暗い民間の一角で、座り込んだ恭也が言った。
彼に寄りかかってた少女がピクリと反応する。そして少し目を伏せた。

「芽衣も分かってると思うけどさ、例え元の世界に戻れたとしても、
俺はもうあの世界じゃ生きていけないんだよ……。
美耶子の血と、赤い水が混ざって、俺は半屍人になった。」

ゆっくり恭也の息が吐かれる。不気味なくらい静かで、鳥の鳴き声すらしない。
芽衣は少し震えた。恭也がこの次、何を言おうとしているのかが分かったから。

「だから……芽衣、お前だけで元の世界に戻って欲しい……。」

最後は消えるような呟き。
離れるのなんて嫌だ。芽衣は瞳を閉じて、涙を流す。

「恭也……私、恭也と離れるなんて嫌だ……。
恭也と離れるくらいなら、あなたの血を私に分けて……」

そう言いかけたけど、言葉にならなかった。
激しいまでに唇を奪われ、抱き締められ、冷たい畳が背中にあたる。
気付けば手首を畳に押し付けられて、恭也の泣き笑いの顔と天井が見える。

「芽衣……俺だって、お前と離れたくない!!!お前を俺と同じものにしたい!!!
けど……俺は……俺は……芽衣との子供を残したい。だからっ……!!!」

恭也の涙が芽衣の頬に落ちた。
彼の言葉の意味が分かって、そっと目を閉じる芽衣。
再び二人の唇が静かにかさなった……。
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