夢@Asaheim

□君は妹
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毎回こうやって、彼女の体を確認する。
高校生まではこうすると、いつも痛がっていた。
そういう時は必ず、体の見えない部分にアザがあったりする。
もちろん、母に虐待された時にできるもの。

芽衣は俺と同じで宮田の子ではない。

俺が10歳の時、女の子が欲しいと言った母に与えられた子供。
精神を病む宮田涼子が、芽衣にも歪んだ愛情を注ぎ込み育てた子供。

ただ芽衣の場合、歪んだ愛情の延長線で、暴力もふるわれた。
それなのに、芽衣が素直な優しい子に育ったのは奇跡なのかもしれない。

「最近は母さんに虐待されてないみたいだな……。」

「お母さん、最近優しいんだよ。お兄ちゃんにも会いたいって言ってる。
お兄ちゃん、たまには家に帰ってきたら?」

下から芽衣がのぞきこむ。
そんな彼女が愛しくて……。理性を保たせるのもそろそろ限界だ。
俺はぎゅっと彼女を強く抱きしめる。

「宮田の家には帰らないさ。あそこには俺の居場所がないからな。
芽衣も俺のところに来ればいい。
また母さんに殴られるんじゃないかって、心配なんだ。」

「お兄ちゃん……。
その言葉は嬉しいけど、私まで出ていったらお母さんきっと、病気が悪くなると思うの。」

芽衣が寂しく笑った。

彼女にこんな顔をさせる宮田の存在を憎く思う。
母がいなければ……。知っていて何もしようとしない父がいなければ……。

俺がそう思った時、芽衣が口を開いた。
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