夢@Asaheim

□05
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天使と黒羊 05

宮田が神代の家を出たころ、芽衣のほうはだいたいの整理が終わっていた。
あとは本を資料室に持って行くだけ。

古い本を手に取った時、その中の一冊から何かが落ちる。
パサリと足元に落ちたものを見た。
古びた何かの写真。
芽衣は一度本を置き、しゃがんで写真を手に取った。

宮田医院の前で撮られた家族写真。
少年と、その少年を大事そうに抱いている母親。隣には笑わない父親。
母親に抱かれた少年に見覚えがあった。
どことなく、宮田に似ている。

「みやた……先生、かな?」

そう呟いた瞬間、バチッと電撃が頭を走る。
直後、訪れた酷い頭痛に、芽衣は顔をしかめた。

この痛み、彼女は知っていた。
頭の中を、セピア色の映像が流れていく。
頭の中で流れてはいるのだけれど、実際に自分で見ている感覚。

過去視。

この現象は、黒川の家でそう呼ばれている。
ものや人に触れることで、過去に起きた出来事を読み取る力。
黒川だけに伝わる、秘密の力だった。

この他に、視界ジャックと呼ばれる能力もある。
ただ、視界ジャックは黒川以外にもできる人々がいるらしい。

さっきの写真から見えた過去の出来事。
それは、宮田が布団に横たわる母親に撫でられている出来事。
側に落ちてるのは、破り捨てられた紙。母親が言う。
「お前は悪い子だから、宮田に来たのだろう」と。
父親は遠くから宮田を冷たい目で見ていた。
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