夢@Asaheim
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このあと神代に呼ばれている。教会の牧野や八尾比沙子も呼ばれているようだった。
これから牧野に会うのかと思うと、少しだけ気が重い。
ちらりと芽衣を見ると、黙々と作業していた。
「芽衣さん、私は少し用事で出かけますので、適度に休憩しながら作業してください。」
「あ、はい。分かりました。」
「では」……と言い、机の上に置いた、車の鍵を取る。
部屋を出て、ドアを閉める前に彼女の声がした。
「あ、先生!!!」
「……なんでしょう?」
ドアの隙間から、顔を覗かせる宮田。
芽衣が手に資料を持ったままニコリと微笑んだ。
「いってらっしゃい。」
短い言葉だったけど、なんだか少し、心地がよかった。
いつも仮面をつけてるような宮田の顔が、少しだけ和らいだ。
『いってらっしゃい』
最後にこの言葉を言われたのはいつだっただろう?
ごく当たり前のことなのに、思い出せない。
少しだけ、嬉しかった。
当たり前の言葉が……。
自分が当たり前のように生活しているみたいで……。
「ありがとうございます、芽衣さん。」