夢@Asaheim
□Dear.屍人ノ君
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私は恋人である牧野さんをずっと探している。
数日前、牧野さんは儀式があるからと、疲れた顔をして笑っていた。
けどサイレンが鳴り響き、村はおかしなことになった。
ただの村娘の私にとって、化け物……屍人と戦うことは至難の技だった。
だから私は、戦うよりも逃げることにしたのだ。
走って、隠れて、時には屍人をおびき寄せて……。
怖かったけど、私は牧野さんに会いたかったから……。
逃げ続けてから、夜が開け朝がきて、また夜になる。
走る途中、ドクンと嫌な予感が私を襲った。
何だろう、この怖い感じ……。何か恐ろしいものが甦ったような……。
早く、牧野さんを見つけないと……。
私は今度、中央交差点付近を走る。
ここに牧野さんがいるような気がしたから。
そんなことを思いながら、私は信号が赤く点滅する、中央交差点に到着した。
そこは一面、赤の世界だった。
赤い信号に照らされた地面に、さらに赤が広がる。
しゃがみこんで地面を触ってみると、赤はもう、乾いていた。
「赤い水じゃない……。血、だわ。」
小さく私は声を漏らす。
地面を見つめる私には、その時周りに気を配っている余裕などなかった。
ひやりとした誰かの手が、首筋に触れた。
直後、強い力で体が引っ張られる。