夢@Asaheim

□時間の箱庭
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私の手を、恭也が自分の頬にすりつける。
彼の肌の感触。だんだん分からなくなってきた。
じんわりと、視界が歪んでいく。
私の変化に気付いた恭也の顔色が変わった。

「恭也、もう一つ、気付いて。あなたは私と時間を繰り返してる。
あなたが気付かないと、私たちに未来は来ない……。」

恭也の顔が見えなくなる。体が重くなって、意識が暗闇に溶けていく。

「芽衣、それ、どういう意味なんだ?」

「恭也、忘れないで。
もしもまた、時間がループしても、私はあなたを好きでいるから。
またあなたに、語りかけるから。」

もう限界ね。溶けた意識が暗闇に飲み込まれた。
最後に聞いたのは、耳を突くぐらいの恭也の叫び。
私はいつもの世界で目を覚ました。


※※※


「こんな村……全部消してやるよ。」

美耶子との、約束だから。
そして俺から、芽衣を奪ったから。
死んだ彼女は、サイレンが鳴っても還らなかった。
美しいまま、ただ眠っているだけのように見えた。

夢ならば、いいのに……。

屍人を焼きつくした俺は、からっぽの村で腰を下ろす。
なんだか疲れた。少し寝よう……。
意識が沈む。暗い暗い場所へ。
次に俺が目を開けた場所は、よく知っている世界だった。
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