夢@Asaheim

□時間の箱庭
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私と恭也は、ずっと前から同じ時間を繰り返している。
羽生蛇でさ迷うのも、もう3度目。美耶子さんに嫉妬するのも、3度目……。
このあとの私の運命ももう、分かってしまってる。

突然後ろから襲ってきた衝撃。
あぁ、やっぱりね。いつも私が倒れるのは、赤い水のたまった棚田。
ベシャッという音は、私の体が倒れた音。

「芽衣っ!?……このやろうーっ!!!」

恭也が何かを殴っている。
きっと屍人を倒しているんだ。やけに冷静に頭が回った。
そのあとに、ふわりと抱き上げられる。

「芽衣……しっかりしろよっ!!!死ぬなっ!!!」

「恭也……。」

いつもと同じね。あなたは全然気付かない。
私が死ぬのは3回目。あなたが泣くのも3回目。

「恭也、これでいいのよ。私はこれで、向こうの世界へ帰れるの。」

「芽衣?何……言ってんだよ……。意味が分からない。」

私は恭也に手を伸ばす。
恭也はそっと、私の手を掴んでくれた。あったかい……。

「私、美耶子さんに嫉妬してた。余りにも、恭也と仲がよかったから……。」

「え、それで芽衣、さっき……。馬鹿だな。俺が好きなのは、芽衣だけなのに。
けど……ごめんな。そんな芽衣の辛い気持ちに、気付けなかった。」
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