夢@Asaheim
□赤が交じる
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「芽衣。」
自分の前を歩いていた彼女が、立ち止まって振り返る。
道の先を見に行くため、美耶子は安全な場所へ隠してきた。
自分も残ると芽衣は言ったけど、俺は彼女を連れてきた。
芽衣と、二人っきりになりたかったから。
「どうしたの?恭也。」
首をかしげる仕草。小動物みたいで可愛い。
じっと俺を見つめる黒い瞳も綺麗だ。
俺は芽衣の全部が好き。
だから絶対、芽衣とは離れたくない。
彼女を……死なせたくない。
俺は持っていた火かき棒の先端を、手のひらに突き立てた。
芽衣が息を飲むのが分かった。
手のひらから、赤い血が流れる。
ぽたりと落ちた滴が、足元にたまる赤い水と混ざった。
「恭、也……?」
小さく名前を呼ぶ芽衣の手をとる。
白くて、綺麗な手のひら。
温かくて、俺を愛してくれる手のひら。
俺は同じように、芽衣の手のひらに火かき棒で傷をつけた。
プツッと音が聞こえてきそう。芽衣が痛みに顔を歪める。
彼女の手のひらから、何も混ざってない血が流れた。
芽衣の顔を見て、笑いかける。