夢@Asaheim

□あなたのお相手が、私ならばよかったのに
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芽衣さんが目を伏せる。
私はそんな彼女を見て、ぼうっと考えた。

もしも彼女が神代に捨てられなければ、彼女は神の花嫁か、
実をつくる存在だったかもしれない。
今のところ、実をつくるのは亜矢子様で、神の花嫁は美耶子様。

「美耶子は元気にしていますか?」

目を伏せたまま、芽衣さんが聞いてくる。
神代の家が嫌いだと言っても、彼女は昔から、美耶子様だけは可愛がっていた。
美耶子様も、亜矢子様より芽衣さんのほうを慕っているようだ。

「相変わらずお元気ですよ。
芽衣さんがあげた、ケルブとも仲がいいみたいです。」

それを聞くと、彼女は静かに笑った。

「よかった……。
この前幻視をした時に、亜矢子姉さんにいじめられてるようだったから。」

「芽衣さん……。」

そう、彼女は本来、誰よりも強い幻視能力がある。
人間はおろか、あらゆる生き物の視界を盗んでしまう。
その他に、視界を盗んだうえ、行動までも乗っ取ることができる能力も持っている。
それを知っているのは、私と宮田さんぐらい……。

「求導師様、美耶子はいずれ、神の花嫁になるんでしょうか?」

「そう……ですね。
芽衣さんの次に力が強いのは、美耶子様ですし……。」

私が小さく答えると、芽衣さんは笑った。悲しそうに。
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