夢@Asaheim
□あなたのお相手が、私ならばよかったのに
1ページ/3ページ
一般病室を抜ける時、会う人会う人に「求導師様!!!」と言われた。
みんな笑顔で頭を下げてくる。
この閉鎖的な村では、私の存在は彼らよりはるかに高い場所にある。
それが私にとっては重荷だった。
私なんて、何もできないただの求導師なのに……。
病室を抜け、一つの部屋の前にたどり着く。
深呼吸して、ドアをノックした。
中から可愛らしい声が聞こえたので、私はドアを開けた。
「まぁ……求導師様。」
本を持ったまま、この部屋の主である神代芽衣が驚いていた。
手には難しいタイトルの本が握られていて、すぐに誰のものか分かった。
「お久しぶりですね。お元気そうで何よりです。」
彼女の近くに座ると、芽衣さんは私のほうを向く。
一瞬だけ笑ったけど、そのあと表情が強ばった。
「えぇ。何も変わりませんよ。求導師様、神代の命令で来たんですか?」
「いえ……。」
「それでは、求導女様が何かおっしゃられて?」
じっと芽衣さんは私のほうを伺っている。
彼女は昔から、神代も求導女である八尾さんのことも嫌いのようだ。
「いえ……。
ただ、私が芽衣さんのお見舞いに行きたかっただけで……。」
そう言えば、彼女の緊張が緩んだ。
「疑ってすみません。
求導師様は優しい方って分かってるけど、神代と繋がってるから……。」