夢@Asaheim
□命をかけてもいいくらい
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「宮田先生、今日はずいぶんと遅い訪問ですね。」
芽衣が目をこすりながら宮田を見る。
月の光に照らされた芽衣は美しかった。
宮田はそんな彼女を見ながら、神代は本当に馬鹿だなと、再び罵る。
ここまで美しい娘など、そうそういない。
みずから芽衣を捨てた神代。
もしも彼らが芽衣を返してくれと言っても、
宮田は絶対に返さないと誓っている。
目をこすり続ける彼女のベッドに腰をおろし、
そのまま芽衣を抱き寄せた。
首筋に顔を埋め、呼吸をすれば芽衣の香りがする。
それは宮田にとって、一時の至福。
芽衣はすぐに微笑んだ。
「今日の宮田先生、すごく甘えん坊。」
「仕方ないだろ。
疲れた時にはこうするのが一番いいんだから……。」
普段敬語の宮田も、芽衣の前では素の自分に戻る。
芽衣はそんな宮田をちゃんと受け入れてくれている。
羽生蛇における宮田の存在も、
ねじれた愛情を受けて育ったことも、全部……。
宮田にとって、芽衣は大事な大事な存在である。
そう、牧野にとっての比沙子のような存在。
「先生、少し頑張りすぎなんじゃ?
お医者さんの仕事も、宮田の仕事も……」
「文句なら、宮田を働かせる神代と教会に言え。」