夢@Asaheim

□命をかけてもいいくらい
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一般患者が過ごす部屋から少し離れた小部屋。
ここには誰も近づかない。
それがこの病院での暗黙のルールなのだから。



深夜に近い時間帯。
宮田は白衣のまま、ある場所を目指していた。
カツンカツンと靴音が響く。
一般患者の病室から、少し離れた部屋の前で靴音止まった。

「芽衣、起きてるか?」

部屋のドアを開け、小さく名前を呼ぶと、
ベッドで眠っていた人物がゆっくり起き上がる。
窓から差し込んだ月の光が彼女の顔を照らした。

神代芽衣。
神代亜矢子の妹であり、美耶子の姉。
治らない病におかされており、神代家からほぼ見放されている。
それは病にかかっていることも原因だが、もっと他に原因がある。

芽衣は亜矢子や美耶子よりも幻視などの力が弱く、
村の権力者である神代家にとっては痛い存在だった。
普通の人間と変わらない芽衣は、半強制的にここに入院させられているのだ。
芽衣が入院してから神代家は、
まるで彼女が最初からいなかったかのように振る舞っている。

宮田はそんな神代家が馬鹿だと心の中で笑った。
芽衣は意図的に、力がないようなふりをしているだけなのだ。
元々神代を嫌っていた芽衣は、そうすることで家を離れることに成功した。
実際の芽衣力は、一番力が強いとされる美耶子よりもはるかに強いのだ。
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