夢@Asaheim
□守りたいもの
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パラパラと資料をめくる宮田のそばで、疲れた顔の芽衣が座っている。
足には怪我の処置で包帯が巻かれていた。
頭を理沙の肩にあずけ、ぼんやり窓の外を眺めていた。
隣に座る理沙は、優しく芽衣の長い髪をすいている。
「一体、この村に何があったの……?」
小さく呟かれた言葉に、宮田も理沙も動きを止めた。
時折遠くから、屍人の遠吠えのような声が聞こえてくる。
芽衣は窓から視線をそらし、囁くような声で話した。
「私、病院で仕事をしてたんだけど、気づいたら山の中に倒れていたんです。」
「山の中に倒れてたの?」
理沙が驚いた顔をする。宮田は眉をひそめた。
「何か変わったことは?」と続けて尋ねると、
芽衣は急に理沙の手をとって震えだす。
そのまま小さく呟いた。
「山根さんが……私のそばで死んでいました……。」
山根というのは宮田病院の内科医師。
密かに芽衣に恋心を抱く人物だった。
宮田の表情はさらに厳しくなっていく。
そういえば……と、彼は芽衣の足を治療した時のことを思い出した。