夢@Asaheim
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しばらく歩くと、髪をなびかせて立っている少女が視界に入ってくる。
シンジは立ち止まり、彼女の名を呼んだ。
「芽衣……?」
不意に瞳がシンジのほうを向き、彼をじっと見つめたあと、手を取って歩き出す。
「芽衣っ!!!どこに行くつもりっ!?僕はネルフには戻らないよっ!?」
「シンジ君がそう決めたんならそれでいいよ。
ただ、最後に一緒に海が見たいの……。」
そのまま引きずられるようにして、シンジは海の見えるところまでやってきた。
赤い海を見つめたまま、芽衣が口を開く。
「シンジ君は、エヴァが嫌い?」
突然の質問で、シンジは答えられないでいた。
芽衣は小さく笑ったあと、今度はこう尋ねる。
「じゃあ、碇司令は嫌い?」
その質問にはすぐに答えられた。
「ああ、嫌いだよ。だって、僕を捨てた父さんだ。
僕だって、父さんとうまくやろうとしたけど、でもダメだったんだっ!!!」
「……そう、なんだ。でも、私はそれでもシンジ君が羨ましい。」
「僕が羨ましいだって!?
父さんに呼ばれたと思ったら突然エヴァに乗れって言われて、怖い使徒と戦うんだよ!?
挙げ句の果てに、実の父親から友達を殺せって言われて……。
芽衣はいいよ!!!エヴァに乗らなくていいんだから!!!
人を殺せって言われることもないじゃないかっ!!!」
怒りに任せて彼女に向かって怒鳴り散らす。
怒鳴ったあとでシンジはハッとした。