夢@Asaheim

□04
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「ごめん。ごめんね、3号機。」

水槽の中で芽衣が小さく言うのと同時に、バキっという音が響く。
初号機は3号機の首をへし折った。
次に3号機を高く放り投げ、地面に叩きつけ食らいつく。
ぐちゃぐちゃと気持ち悪い音がして、血が吹き出す。
初号機によって、腕ももぎとられ、内臓が辺りに散らばった。

モニターで様子を見ていたマヤや本部の数人が、その現実から顔を背ける。
他のみんなも、作業する手を止めた。
でも、ダミーシステムの中核となる芽衣は、そんなこと気にしなかった。
3号機の波長はもう感じない。3号機は無事に逝った。
腕をひきちぎったって、内臓に食らいついたって、痛みは感じない。
もう、そこにはいないから……。
あとは使徒を……送るだけ。

初号機が3号機のエントリープラグを取りだし口にくわえる。
そこに使徒がいる……。
エヴァ3号機を乗っ取った、犯人。
シンジは初号機の鳴き声と、固いものに力を加えるような音を聞いて、世界が止まった気がした。

「なんのおとだ……?」

ミシミシと耳障りな音に、彼は耳を傾ける。
音の正体がすぐに分かって、シンジは小さく呟いた。
全身の血の気が引いていく。

「やめろ、よ……。それにはアスカが……」

音はだんだん大きくなる。合わせるようにして、シンジの声も荒々しくなっていった。
無理矢理ダミーシステムを外そうにも外れない。

「やめろって言ってるんだ!!!それにはアスカが乗ってるんだよっ!!!
くそっ、止まれよーっっっ!!!」

ネルフ本部にも、シンジの声が響いてくる。
それを合図にするかのように、初号機はさらに力を加えた。
水槽の中でLCLがコポコポと小さな泡を立てる。
芽衣は泣きながら笑っていた。

「使徒……エヴァに取りついた使徒。
あなたはここにいてはならない。
私が元の世界に返してあげる。だからね、」

さ よ う な ら 。

バキンッッッ!!!

初号機の口の中で、アスカの乗ったエントリープラグは砕けた。
音がしてからしばらくして、シンジの声にならない叫び声が上がった。
それは、レイ主催の食事会があるはずだった夕方の出来事。
その時だけ、空には綺麗な虹がかかった。
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