夢@Asaheim

□04
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※※※


使徒に取りつかれたエヴァ3号機は、もう人ではなかった。まるで獣。
同じ仲間であるはずの初号機の首をグイグイ絞めていく。
シンジはアスカを殺すよりは、自分が死んだほうがいいと叫んだ。
その言葉に、ゲンドウは告げる。
神経を全面カットし、ダミーシステムを起動しろと。
すぐにマヤが反論したが、ゲンドウは譲らなかった。
大丈夫。不具合があったとしても、芽衣ならきっと何とかするだろう。
芽衣は神さえ殺せる存在なのだから………。

「やれ。今のパイロットよりは使える。」

ゲンドウの言葉にマヤは一瞬ためらうが、そのままシンジと初号機を切断する。

(芽衣、あとは頼んだ。)

手を組んだまま、ゲンドウが心の中で呟く。
それとほぼ同時に、ダミーシステムが起動した。
LCLで満たされた水槽の中で、芽衣は瞳を開く。
水槽の周りには誰もいない。
誰も知らない閉鎖空間。
この場所を知っているのは、碇ゲンドウだけ……。

LCLの中で感じるのは、自分が初号機に乗っているような感覚。

目の前の敵。

エヴァと使徒の鼓動。

シンジの匂い。

芽衣がそんな感覚を味わっているころ、シンジのいるエントリープラグの中で、
機械が操縦席に設置される。
いきなり起こった出来事だったので、シンジは現状をうまく整理できないでいた。

「なんだよこれ……。
父さんっ、一体何をしてるんだよっ!!!」

叫んだ瞬間、機械とエヴァが接続された。
水槽の中の芽衣が、大きく目を開いた。
LCLと涙が溶け合う。
彼女は苦しそうな表情をして呟いた。

「苦しいよね?エヴァ3号機。大丈夫。
今、楽にしてあげるから……」

そうして初号機は、3号機の首を掴んだ。
ぐいぐい首を締めつける初号機に、3号機は抵抗する。
しかし力は初号機のほうが上だった。
メキメキと何かが軋む音がする。
エントリープラグ内のシンジは黙ってその音を聞いていた。
初号機を止めようとしていろいろ触ったが、どうやっても初号機は止まらなかった。
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