夢@Asaheim

□03
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※※※

次の日、放課後になってからシンジは、レイに芽衣のことを聞こうとして、
帰り支度をする彼女の席に行った。

「綾波。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

「何?碇君……」

赤い瞳が持ち上がる。
じっとシンジを見つめるレイに、シンジは黒川のことを尋ねた。

「綾波は、黒川芽衣って知ってる?」

「ええ。芽衣は私の友達。碇君も芽衣を知ってるの?」

「うん。」

僕も、芽衣と友達になったんだ……。
そうシンジは呟いた。あらためて友達なんて言うと、どこか照れくさい。
レイはそんなシンジをじっと見つめる。そして口を開いた。

「芽衣は……私と同じ。あそこでしか、生きられない。あそこだけが芽衣の居場所。」

「えっ………?」

突然のレイの呟きに戸惑うシンジをよそに、レイは鞄を手にとった。

「じゃあ、私、帰る。碇君、今日、楽しみにしてて。」

「あ、うん。分かった……。」

レイはそのまま教室から出ていった。
今日は夜からレイ主催のみんなで食事会。
そういえば、芽衣も呼ばれてるのかな……。
そう思いつつ、一人ぽつんと残されたシンジは、ずっとレイが出ていった出入口を見ていた。
食事会も楽しみだが、先ほどのレイの言葉のほうが気になる。
前、水槽を見る彼女が呟いた言葉だった。

「綾波が言った言葉……。あそこでしか、生きられない。
綾波だけじゃなくて、芽衣も……?」

『だから私は、ネルフから離れられないの。』

ふと、昨日芽衣が呟いた言葉を思い出す。
レイと芽衣は、ネルフでしか生きれない……。
よく意味が分からないけど、シンジはなんだか酷く悲しくなった。
頭をふり、彼は気持ちを切りかえる。
今日は楽しみにしてた食事会だということを意識して、シンジは鞄を手にとった。
芽衣も呼ばれていたらいいなと思いながら、シンジは教室を出る。
その頃芽衣は、第3新東京の青い空を見つめていた。

「何か……嫌な予感がする。エヴァが遠くで……泣いてる?」

芽衣は、瞳を細める。
松代で爆発事故が起こったのは、それからしばらくしての出来事だった。
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