夢@Asaheim
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一年の終わり、私は大きな決断をした。
「一年間の間でしたが、お世話になりました。みんなのことは向こうの学校に行っても忘れません。」
教壇で頭を下げる私に、惜しみない拍手が贈られる。
顔を上げると、仲良しだった女の子たちが涙ぐんでいた。
そう。私は二年から、別の学校へと行くのだ。
転校を決めたのは私自身。
理由はすごく単純。もっともっとバイオリンがうまくなりたい。
私のバイオリンの先生にそのことを話したら、学校を紹介してくれたのだ。
聖ルセント学院。別名……アテナの住む学院。
噂では、芸術を司る女神・アテナがいるんだとか……。
私のバイオリンの先生は、そこで音楽を担当しているらしい。
憧れの先生であり、私の目標でもある。先生のように弾けたら……。
そんな思いもあって、私は聖ルセント学院に行くことを決めたのだ。
そして私は今、この学院の前に立っている。
バイオリンケースにつけた鈴が、しゃらんと鳴った。
私の隣を抜けて登校していく生徒たち。
私は深呼吸して、学院内へと一歩踏み出した。
この先どんなことが待ってるんだろう?
新しい学校での生活。それは同時に、私の恋の物語の始まりでもあった……。
*