夢@Asaheim
□音楽室トーク
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夕方の音楽室、ひょんなことからアンサンブルの男子メンバーが顔を揃えていた。
ある一人の男を除いて・・・・・・。
「・・・・・・そういえば土浦。君は芽衣から今度のアンサンブルの曲について、何か聞いてるか?」
ふと、弓をしまいながら月森が口を開いた。
「ぃや、別に何も聞いてない。
・・・・・・あ、曲といえば、さっき加地が芽衣にいろいろ提案してたな。」
土浦も、ピアノのふたをカタンと閉めて、月森の質問に答えた。
「加地・・・・・・か。」
小さく月森の唇が動く。
その仕草に土浦は眉をひそめた。
「・・・・・・実を言うと、俺は加地がどうにも理解できない。
芽衣の音に惹かれるのは分かるが、芽衣に接する姿勢がなんというか・・・・・・」
「重い、ですか?」
月森の言葉に志水がいち早く反応を示す。
最近志水は、黒川の話になると、積極的に話の輪の中に入ろうとするようになった。
「・・・・・・あー、まぁ。」
苦笑して土浦がピアノに肘をつく。
それを見ていた火原が、思い出すように言った。
「加地君で思い出したんだけど、この前こういうことがあったよ。」