ITO
□2‐2、奇妙な符合
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青ざめる大地を見て、静は料理本をぱたんと閉じた。
「ここで重要なのは――公園で会ったというその少女の台詞の意図、だ」
「は?」
聞き返す大地を見て名護はふうっと息をつき、
「つまりそいつが、何かを考えてその台詞を言ったのかどうかってこと」
「な、なるほど――って、そんなもん、口からでまかせに決まってるだろ」
普通に考えたらそうだ。この俺が呪われているわけが無い。そしてこの世に呪いなんて存在する筈が無い。馬鹿らしい。
と言うと、
「お前……よくぞそこまで自分のこと信じられるなぁ。その自信に頭が下がるわ」
本気で感心した、という顔で名護は大地の目を覗きこんでくる。なにか、褒められたという感じがしない。
一方の静は、名護とは違い冷静で、脇道に逸れた話の軌道を元に戻した。
「いや――それにしてはあまりにも様々なことが一致しすぎている感じがするな。何か知っていると見て間違いないだろう」
「そーだな。もっかいその公園に行って、謎の少女に話聞いてみろよ。何かわかるかもしんないしな」
そう言って勝手に納得している二人に対し、大地は思いっきり顔に苦渋をにじませて言った。
「嫌だ。あんな不愉快でオカルトな女にはもう会いたくない」
すると名護と静は脱力したように同じタイミングで天を仰いだ。
「お前な……今はそんなこと言ってる場合じゃねーだろ」
「そうだぞ、大地。呪い云々はともかくも、もしかしたら、これは――」
と静が言いかけたところで、
「よう、大地。なに話してんの?」
とハスキーな声が話に割り込んだ。