長編小説部屋

□スターサイドホテルオープニングセレモニー【前夜祭】
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靴の先だけを見つめながらゆっくり慎重に歩みゆくカイジ…幸い風もなく中間地点まで順調に進み来たカイジが不意に顔を上げれば向こう側からも歩み寄ってくる人影にきずいた…


「え……?」


何がおきた…あれは誰なんだ…目を懲らしその先の人物を見つめれば…ライトがその人物を照らしだした…


「さ…佐原……」


驚いてる俺に佐原はニヤッと笑う


「カイジさんすいません。俺、どんなことしても俺の未来の為に必要なんだって思うことにしたすよ。カイジさん言いましたよね確か…周りは全て敵!?でしたっけ…」


そう…1ヶ月前のあの日…確かにカイジは言っていたのだ…


佐原はその日コンビニのレジ前で椅子に座り時計を何度も見ながら苛々していた。


「カイジさんまだ来ないのかよ。電話してもでないし…俺休憩取れないんだけど…」


その時…コンビニの扉が開いた


「いらっしゃいませー」


佐原が声をかければ慌てながらに息をきらせてその人物はレジに近づいてきた


「悪るい。遅れて」


佐原はその人物をみるなり…ニッコリ笑う


「遅刻っすよカイジさん。俺休憩とれないかと思ったじゃないすっか…さあさあ早く着替えてきて下さいよ」


立ち上がりカイジを急かせば更衣室へと押し込んだ。


「あ…ああ。すまねえ」


着替えをすませれば店に出て来て佐原とレジを交代する


「ああ今、本が届いたんで検品宜しくっす。それじゃ俺休憩入りますんで」


いつもの愛想笑いで休憩室へと引っ込めば不適な笑みを浮かべカイジのロッカーを開けカイジのジャンパーのポケットに手を突っ込む

「あった…」


ニヤッと笑い一枚の紙切れをとれば自分のポケットへと押し込んだ休憩から戻ればカイジが検品した本を並べていた。すかさずカイジの隣に並び手伝いはじめる


「カイジさん。今日バイト終わったらちょっと付き合ってもらえませんか?相談したいことがあって」


カイジが怪訝そうな顔をしてこちらを見たがお構いなしにニッコリ笑い客が来たためそのままレジへと走っていった。バイトが終わればもう朝日が昇っている


「とりあえず…ファミレスかどっかで。ああ、俺奢りますから」


勝手に話しを進めれば…睨まれた


「俺は行くとはいってない」


冷たく断られればさっさと歩いて言ってしまう相手を追い掛け


「そう、いわないで。ちょっとだけ…ちょっとだけならいいでしょ」


肩にてをかけ引き止めれば振り払われた。


「カイジさん。これなーんだ」


ポケットから先程の紙を取り出せばカイジの顔色が変わった。


「佐原…お前…」


怒った様子のカイジにニヤッと笑えばその紙をひらひらとさせる


「俺、聞いちゃったんすよ」


「返せ…この泥棒」


カイジの話しには聞く耳も持ず話しを続ける


「俺もこれに参加させてもらえない?カイジさん」


カイジは今にも殴りかかりそうな勢いだ


「そんな怖い顔しても駄目すっ。俺…なんていうかもうこんな生活やなんすっよ…だからここで一発あてたいっつうか…お願いしますカイジさん…俺をこの競技参加させてください」


いきなりカイジの前へ周りこめばで拝むような格好をしたかと思えば土下座をしていた…


「これは遊びじゃない…勝てば一攫千金…まければ……」


負ければそこでカイジは言葉を詰まらせた。そう…自分がどうなるのかも分からないようなそんな競技に誘えるはずがない……負ければどうなるのか…カイジもそこまでは聞いていなかったのだ…


「負けがどうのなんて考えてたら、人生なんて変えられないすっよ…勝つそれだけん考えてればいいんじゃないですか?…」


「ば…馬鹿が(怒鳴)それで死んだらどうする…周りが全て敵かもしれないんだぞ…」


「いいじゃないすか…俺は…それでもいい」


「戦争…それを言ったら戦争だろうが…」



「戦争でも…いいじゃないですか…それで今の人生とおさらば出きるんすよ」


何を言っても聞かない佐原にカイジは背中を向け握りこぶしをつくり


「もういい。わかった…勝手にしろ。」


一言いいはなった


「んじゃ。勝手にさせてもらいます。よっとこの紙出場先の連絡先とか書いてあるんで貰ってきま〜す」


佐原も立ち上がればカイジに背中をむけその紙をひらひらとふりながら歩き出していた。


「馬鹿が…どうしてわからない……これは遊びじゃない…戦争…戦争戦争なんだ……」


佐原と反対方向に歩きながらカイジが呟く。大粒の涙を流し袖で拭いながら…そう今もまさにあの時と同じ大粒の涙を流しカイジは佐原を説得しようとしていた


「俺は確かに言った…でも…そういう意味で言ったんじゃない…そういう意味じゃないんだ。どうして仲間どうしで戦わなくちゃいけない…戦う必要なんかないだろう…」


「仲間?カイジさん勘違いしてませんか?別に俺カイジさんと仲間になったつもりはないですよ。ただのバイト仲間じゃないっすか?ああ、仲間には違いないか…でも今は敵でしょ。泣いてたら落ちちゃいますよ。」


手を前に翳しニヤリと笑いながら徐々に近づいてくる佐原…冷や汗をかきながら後づさることの出来ないカイジ


「…俺には無理…無理…無理…出来ねえ……やめろ…佐原……やめてくれ……佐原頼む今ならまだ………」


口走りながら首をふれば涙が止まらずどうにもならない感情が溢れだす…そんな様子を見て利根川がフフフッと笑う


「金を掴むのに手段もヘッタクレもない。だからあいつはクズだと言われるんだ…お互いがお互いを蹴落とし生き残る…いわばこの丗は何時の時代もサバイバル…喰うか喰われるかでつかみ取る。金を命を…だから金に重みがでる…金は命そのもの…いや、金は命より重いのだ…!」


「は…はあ?」


隣にいる黒服がいまいち良くわからないような曖昧な返事をすれば浚に利根川は言葉を繋いだ


「あいつらの行く末など私は知らんが。2人で落ちてくれれば会場は盛り上がり会長もさぞ喜んで下さるだろう。断末魔の叫びと供にな」


ニンマリ笑い…タバコを取り出し口にくわえればそれに黒服が火を付ける。


「なにか…なにか方法はねえのかよ…こんなやりかた……2人…2人で助かる方法は……」


「助かる方法…?俺そんなに甘くないんで。」


ニヤリと笑えば佐原は一歩前に進み手を延ばしカイジの肩を押そうとした…カイジもまた一歩足を後ろにひいた…何とか重心を保ちながら…


続く

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