長編小説部屋
□スターサイドホテルオープニングセレモニー【前夜祭】
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「下らねえな…カイジそんなもん受けることはねえよ」
「あ…赤木さん」
赤木が口を挟めば一条が赤木を睨んだ
「関係ない部外者は黙っていてくれませんか。これは伊藤カイジの君の問題なのですから。さあ、早く受けなさいこの勝負。」
カイジが赤木をちらっと見決心したように頷いた。それは自らの心に生まれた迷い…弱さ甘えを断ち切る為だ。
「赤木さん…お、俺…この勝負受けようと思う…どんなギャンブルであれ…受けて必ず…勝つ…勝ってみせるよ」
赤木がフッと笑い開示の肩を軽く叩いた…
「そうかい…まあ、カイジが決めたことだ。しゃあねえ…口は挟さめねえな…」
カイジが息を飲みカードを選ぶ
「…一条…決まった…こっちだ…こっちを選ぶ」
カイジが手を伸ばした瞬間そのカードを赤木が一緒に掴んで引っ張りニヤリッと笑った。
ざわ…
「これで部外者じゃねえだろう。」
その抜いたカードを赤木が机にパシッと投げ付ければ…
【鉄骨/利根川】
黒いカードの中赤い文字が浮かび上がっていた。それを見て一条もニヤッと笑う
「…あなたも死の恐怖を味わいたいのですか…全く物好きだ。ですがこのカードを引くと決めたのは伊藤君です。貴方にはこちらのカードを受けてもらいましょう」
【スーパー沼DX/さ迷える迷路/一条】
こちらはやはり黒いカードの中に金文字で書いあった…そのカードを開いているカードの隣にパシッと一条が投げつけた
「な…何なんだよ…いったい…赤木さんまで巻き込まれることねだろ」
「カイジ…これは俺が決めたことだ…」
「もう遅いですよ…これは受けると決めたものの宿命…自ら決めたのだ。もう取り消すことは皆無…ありえないんですよ。後そちらの2人には檻に入っていただきます…もうこれを聞いた時点で部外者ではないので。それともそこの2人も何らかのゲームをしますか?別に私はどちらでも構わない。」
一条が顎で合図すれば黒服達が平井と森田を捕らえ用意された滑車の付いた檻に二人別々にいれられた
「…ぎ…銀さん」
「森田…仕方ねえよ…ここは赤木達に任せるほかはねえな」
「銀さんがそういうなら…」
二人諦めたようにしていれば檻に黒い布がかけられ何処かに運ばれていってしまった
「さあ。こちらもメイン会場に移りましょうか。」
黒服達が…カイジや赤木の腕をがっしり掴み歩かせはじめた
「あ…赤木さん」
カイジが心配そうに赤木を見れば
「カイジそんなに心配すんな…大丈夫だろうよ。」
人事のように言っいながらククッと笑い黒服に連れていかれてしまった
「赤木さん」
「お前も早く歩け」
黒服がカイジをせかせればカイジも黒服を睨みつけながら渋々歩きだす。そんな様子を高笑いしながら一条が見つめそんな一条を残し利根川もまた会場へと移動するのであった
「何処まで行くんだ…」
エレベーターに乗せられたカイジが上がっていく階の数字を見なが呟くも黒服達は無言のまま何も答えない…
チッと舌打ちすればエレベーターが止まった
「最上階……」
ドアが開き黒服達に押し出されれば突風が吹き抜け一瞬身震いをしてしまった…
「ようこそカイジ君ここまで来た君を英雄と讃えよう」
椅子に腰を掛けていた利根川が立ち上がり近づいて来た。
「利根川…これは一体なんなんだ…」
黒服がカイジの腕を離せば…一歩前に出た格好で利根川に食いかかった
「見ての通り鉄骨渡りだ。高さ約300メートル落ちれば死でしかない。辞めるなら今しかないぞ」
にんまりと笑っている
「誰が…辞めるものか…俺はこの勝負受けたんだ…受けた…自ら…自ら受けたんだ……だから辞めるわけにはいかない」
「ほーよく言った。そのことだけは褒めてやろう。ではルールを説明しよう…ルールは至って簡単だ。この鉄骨を渡りきればいい…この電流の流れる鉄骨をな。ただし向こうから来るしきゃくを振り切ってだがな。オイ」
黒服に合図すれば鉄骨に何やら棒を近づけその結合部から火花が勢いよく飛び散った…
「時間制限は明日の夜明けまで勿論カイジ君には命綱などない。落ちれば即座に死が待ち受けている。ルールは以上だ。では始めよう」
利根川が軽く手を上げれば黒服達にスタート地点までおいやられる…
「待て…」
黒服達の手を振り切り利根川のほうへと向き直れば利根川が「何かねカイジ君」
「もし…俺が…俺が勝ったら…お前は何をしてくれる。利根川…俺が負けたら死だ…死しかない…ならそれに相応しい額…金だ…!!金金…金を出せ…そして俺の前で土下座しろ」
「ククッ…何故私が土下座などしなければならんのだ。」
その時スピーカーがキーンとなり何処からともなく声が聞こえてきた
「カイジ君…君がその鉄骨を渡りきったらっ…君に2000万を払いっ…利根川に土下座をさせよう。誠意のこもった土下座をなっ…!!クゥックククッ〜」
その声に利根川が一瞬凍りついたかのように行動が止まった…
「…2000万…それじゃ…そんなもんじゃ少な過ぎる5000だ…5000万それ以上はびた1文まけねえ…」
「ククククッッ〜…流石カイジ君だ…わかった…っならば5000だそうっ。私を…楽しませてくれ…るのだろうからなっ…!!」
そこで…スピーカーの音がプツリと切れた
「さあ、はじめてもらおう。お前の為に応援も用意してやった」
黒い布に包まれた檻が照らしだされにんまり笑う利根川がその布を引っ張れば檻に入れられ両手を鉄の棒に括りつけられた森田の姿が照らしだされた…
「もΣ森田…!?」
「カイジ君が負ければあの者に10000Vの電流が流れる仕組みになっている。」
「き…きたねえ汚ねえ…そんなの汚ねえ…森田は関係ねえだろう……離せ離してやってくれ…」
「シャーラップ。汚かろうがなんだろうが…一度勝負を受けた者に選ぶ権利など、もおとおないのだ。わからんのかこのくずが」
利根川は椅子に腰を掛け足を組み嫌気のさした顔付きでいう
「カイジ…俺は大丈夫だ…二の次でいいから…今はその鉄骨渡りきることだけ考えろ」
フッと笑う森田に涙があふれ…怒りとともに利根川を睨みつけた
「そろそろ余興も終わりだ。早く始めないと日が登ってしまうぞ」
パンパンと手を叩いている…そんな利根川を見て涙を袖で拭えばスタート地点から深く暗い下界を見下ろし顔付きをキッとかえた。
「よし…出来る。俺はやれる…俺はやる…やってやる」
グッと握り拳をつくり一歩前へ足を踏み出そうとした時不意に何かがひらめいた。
ざわ… ざわ
ざわざわ… ざわ
「この鉄骨…まさか…嫌な予感がする……」
鉄骨の先を眺めれながら考える…どうする…どうすればいい……この鉄骨多分中間が少し細くなってるに違いない…心で呟きながらカイジは考えた。そうカイジの予想は的中していた……この鉄骨中間が若干細くなり揺れるのだ…っ!!
「あ゛Σ!!そうか…この手が…この手があったか…」
カイジにその時電流走る…
「利根川…ぺ…ペンを貸してくれ」
「ペンだと…?まあ良い…おい貸してやれ…」
黒服に合図すれば『はっ』と返事をしカイジにペンを差し出す。カイジはペンを受け取れば自分の靴の中心に一本の線を引いた
「これでいい…」
フッと笑い黒服にペンを返し黒服は利根川の隣へとついた。
「下らん…。まあ、気休めくらいにはなるのだろうがな」
ククッと利根川は笑っえばカイジは今度こそ決心したようにスタート地点から足を一歩また一歩とすり歩くかのように踏み出した
「森田…絶対に…助ける…助けるから」
そう呟きながら……
続く