長編小説部屋
□スターサイドホテルオープニングセレモニー
1ページ/1ページ
カイジが悲鳴を上げ落下すれば、それをアカギが腕の中へと受け止める。会場がざわめき注目がそこに集まった…そんな中に紛れその様子をポケットに手をツッコミ遠くで見ていた人物がいた。そうこの男こそ、今回カイジをこの会場…鉄骨渡りに出場させた人物遠藤勇次だ
「あっさり負けやがって。まあ、鼻かっら奴に期待しちゃいなかったけどな。あいつが負けりゃこっちに返してもらう借金が浚に増える訳だし」
その男…遠藤はカイジが落ちたのを確認し鼻で笑えばドアに向かい歩きだす。その様子を1台のカメラが捕えているとも知らずにドアを開け会場を後にするのだった。
その頃、赤木がカイジの顔を覗き込むように見ながら笑みを向けていた。
「だから押しちまえっていっただろうが…カイジ」
床に落ちると思って硬直し硬く目を閉ざしていたカイジだが聞き覚えのある声にうっすらと目を開ける
「あ…赤木さん…何でここに…?」
何が何やらわからず見知った人の名を呼べばククッと笑われた。
「押せば助かったのによ。おめえのことだ周りの奴のこと考えちまったんだろう」
その言葉に情けなさそうに頷けば涙が滲み出た。泣きそうになるカイジを見て赤木がカイジの額に軽くキスすればカイジの顔が赤くなり暫く沈黙が続くが
「あの…赤木さん…それはそうと…降ろしてもらえませんか…?(汗)これはちょっと…いやかなり恥ずかしいかも…」
少しすれば冷静差が戻り今の状況を把握する。照れながら顔を赤らめ赤木の顔を見て言えば
「ん?俺は別に恥ずかしくねえぜ?」
ニヤリと笑われた…
「俺は十分恥ずかしいんだけど…」
さらに口をごにょごにょと動かし俯き加減に言えば
「俺が恥ずかしくねえから大丈夫だろう」
なんとも訳のわからない言い分だ…
「そ…そうなのか」
何故か納得してしまうカイジにツッコム者は誰もいない。
そんな甘々ムードに茶々を入れ壊すようにいつの間にやらカイジ達の周りを黒服達が取り囲んでいた。赤木の顔付きが一瞬変わる
「何だか穏やかじゃねえな…なあ、銀二よ」
そんなバカップルのやり取りを見たくもねえと呆れながらに赤の他人を決め込もうとしてる人物の名を呼べばニヤニヤと赤木は笑ていた。平井はそんな赤木の肩に手を軽く置きため息を漏らす
「お前さんなぁ…人を巻き込んでくれるなよ…」
「別に…俺はオメエの名前呼んだだけだぜ。」
クックッと笑う赤木は明らかに確信犯だ…
カイジを一度腕の中から下ろし…平井森田赤木カイジと4人で背中合わせに固まった
「明日料亭でどうだ。フグサシとテッチリ…予約入れとくぜ。森田と来るだろう」
ニヤリと笑いながら赤木が口を開いた。突然この男何を言い出すのかと思えば…
「馬鹿が…。」
溜息が漏れるも乗り掛かった船…話を合わせてみることにした
「そりゃあ全部お前さん持ちだろうな。行った後にお飯は知らねえじゃ話になんねえぞ」
ククッと笑い冗談交じりに金の話を持ち出せば
「交渉成立だ。カイジ明日が楽しみだな」
楽しそうに笑っている
「だとよ。すまねえな森田ちーとばかり付き合ってくれや」
森田とカイジには二人の会話が掴めないまま緊張が走ている様子だ
「…銀さん…この状況」
…森田の表情が少し強張っている。
「森田1ついいこと教えてやらぁ…赤木に関わったら命が幾つあっても足りねえぞ。」
森田の肩に軽く手を置顔をちらっとみればき口隅を上げて笑う
「え…銀さんそれって、いいことなの…(焦)」
今の緊張…感強張った表情はどこえ?といった風に素っ頓狂な声を上げて驚いている森田にフッとわらえば肩から手を退けた。
「赤木さん…すまねえ。巻きこんじまって…」
今度はカイジが口を開き今にも泣きそうな表情をしていた
「カイジ…泣く必要はねえな。よく言うだろう?狂気の沙汰程面白れえって…!!俺の血が疼いてる。ただそれだけよ。ついでに言うなら天が俺に味方してる俺に勝てと言ってるんだわ。」
意地の悪い笑みを浮かべる赤木にカイジも「赤木さん有難う…」ニヘラ〜と笑みを返した
そんな中黒服の一人が話しだした
「そちらの方はまだ競技途中ですのでこちらにお渡しいただきたい」
丁寧な口調でズイッと黒服達がカイジに近づき腕を掴めば赤木がそれを阻止し振り払った。
「…ざわ…」
黒服達にどよめきが走る
「逆らうならお前達全員来てもらうことになるが、それでもそのゼッケン番号…10番を渡さない気か」
いきなり口調が代わった…
「パターンだなオメエら…そんなこと今の俺には関係ねえよ。」
ニヤリと笑う赤木に黒服達が取り押さえようと飛び掛かるも赤木がそれを逃れるように横にふわりと飛び黒服の腹に蹴りをくらわせてた。
「お前さんちーと派手にやり過ぎじゃねえか?もう、いい年してんだからよ…あんま無理しねえほうがいいと思うぜ」
フッと笑いながら赤木に厭味を言えば自分のほうにも黒服が向かってきた為仕方なしに腕を押さえ動きを封じ顔面に蹴りをくらわせた。
「銀二…オメエこそ派手に動いて明日森田に泣き付いてんのが関の山てヤツじゃねえのか」
ククッと笑い次々に黒服をのしていく。森田をちらっと見れば何とか力で捩伏せていた。会場が騒がしくなりはじめ…中にはやれ!!殴れ!とヤジを飛ばすものや賭ける奴らまででてきていた。そんな様子を何台ものカメラが捕らえている。
「銀さん達やばそうだぜ。どうする安さん…」
「少し様子見るしかねえんじゃねえか…俺達が今出ていった所で足手まといだろうしな…」
「ちがいねえ…(汗)」
少し様子をみようということで纏まった2人。
「しかしへんですねぇ…」
突然背後から声をかけられぎょっとし二人が振り向けばそこに船田の姿が…
「船田さん…あんたも来てたんかい……」
巽が先に声をかけた
「ええ…奥様方を連れてちょっと」
「いきなり出てくるなよ…びっくりするんだろうが…」
船田を見てフウと肩を撫で下ろす安田
いや…安さん突っ込む所はそこじゃねえ『奥様方』てところじゃ…ざわ…心で呟くも顔にはださず
「何が変なんだ…船田さん…」
巽が先ほど船田が疑問にした言葉を述べる
「いえ…先ほどからカメラが全てあちらに向いてるんですよ…まあ、2〜3台はやじ馬を捕らえてるんですけどね」
ほら、と指をさせば確かにと
「どっかで誰かがみてるんじゃねえか…幹部の人間とかよ」
安田が何気なしにカメラを見ながらいえば
「ならば、幹部の人間は何故止めにこないのでしょうか?これだけの騒ぎとなれば何かの謝罪があっても良いはずですがねぇ…」
船田は胸ポケットから煙草を取り出せば箱を数回軽く振り一本飛び出した煙草を口にくわえれば安田が目敏くライターを取り出しそれに火を点けた。
「確かに妙だな…」
巽もそれにつられ煙草を取り出し視線を人だかりのほうへと向けた。そう、今…船田達が気にしていたカメラの先にはその些細な姿さえも映し出されているとは知らずに…
「クククククッ〜……面白そうな奴らじゃないか。少しは楽しめそう…だな…っ…利根川っ、一条っ…こいつらのことっ…詳しくっ…調べておけっ!…」
無数にあるカメラはこの人物の元へと繋がっていた。そうこのスターサイドホテルの創立者兵藤和尊である…兵藤は床に盃を置き黒服達がそれに並々とワインわ注ぐ。それをぺちゃぺちゃぴちゃぴちゃと舌先で舐めるように味わいながら部屋にある無数の画面に映し出されている面々を見て目を細め揖らしい笑みを作っている。髭にワインとも唾液ともつかぬものを滴らせながら……
「は。…ですが今はこの状況を何とかしないとまずいのではないでしょうか」
利根川が兵藤の後ろで伺いを立てる
「ならば…利根川っ…お前が…何とかしてこい…っ…」
ざわ…
「わかりました。」
一言返事で利根川が会場へと出向いた。
つづく