阿雲

□あぁ幸せ
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「おい雲水、飯」


バタンと大きな音を立てて玄関の扉が閉まった。
阿含が帰ってきた。
時刻は深夜の1時だ。それでも雲水は自分の事を待っていてくれる。
その自信はたっぷりあった。

しかし雲水は返事を返して来ない。いつもなら「こんな時間まで何してたんだっ!!」と叱ってくるのに。

ついに飽きられたのかと思い、しゅんと悲しくなる。

奥へ進み、雲水を探す。
机の上には阿含の為に作られた夜食。
ソファーには寝ている雲水。

阿含の口元は明らかに緩んでいる。
机の上の夜食は無視してソファーの方へ向かう。
雲水の口にちゅっとキスをする。


「…ん……。」


熟睡しているのか起きる気配がない。
阿含は自分が相手にされてない感じが気に食わず、雲水のズボンに手をかけた。

しかしすぐにそれをやめ、シャワーを浴びにその場を離れた。


阿含に善意なんてものはない。
やめた理由も子供の考える思考回路。

名前も知らない女に突っ込んで来たそれを雲水の中に入れたくない。
ただそれだけ。

雲水の事を心配してるのではなく、俺的ルールに反するのだ。


「あ"ー…」


俺は雲水に何度も女遊びはやめろと言われつづけたがやめたことはない。
自分の思うように生きてきた。
我が儘な俺に懲りず毎回同じように叱ってくれる雲水。

あいつが死んだら俺はどう狂うのだろうか

あぁ幸せ


END

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