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□時の流れは残酷で
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「私は月」

いきなり彼女はそんな事を言うから

「じゃあ、僕は太陽」

ちょっと気取ってみた



「星になって輝くの」

義妹は控え目に囁き

「白い雲のように」

弟は笑って言った



「空になりたい」



不意に視線を向けると

背の高い義兄



「大きくて広い、青い空になって、皆を見下ろしてみたいな」

それを別れの言葉だと思ったのは、もう何年前



「神様は欲張りね」

彼女は憤慨だ

「月は、夜だけのものじゃ無いのに」



一緒に、連れて行って欲しかったのか

それとも

本当の月を、探しているのか

僕には判らないけれど

でも…



空を見上げ一人思う



時の流れは残酷で

僕と彼女を引き離す

もう会えないと思うより

また会えると思うほうが

時に辛くもあるけれど



「私は月」



彼女が月なら大丈夫

何処に居ても

必ず僕を見下ろして

そしたら…



太陽な僕は恥ずかしくて

燃え上がってしまうね



寂しいも悲しいも

僕は言わないよ





「またね」…
 

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