Animal People2-変改

□10.つるっとした関係
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途中でどこか立ち寄ったり、立ち止まったりして、結局スケート場についたのは、最寄り駅に着いてから1時間後だった。といっても、みんな疲れてはいなかったが。全員が整列したところで、赤木先生は話し始めた。
「今から2時間、2つに分かれて行動します。朝のときも言ったように外組みは先生と新矢君と竹流君、スケート組は麗お姉さんと優一君と零君がついてきてくれます。それぞれよく言うことを聞いてくださいね」
幼い子供達は元気よく返事をした。
「じゃあ麗、2時間後にここでね。何かあったら連絡ちょうだい」
「はい、わかりました」
麗が答えると、赤木先生は外組のほうを向いた。新矢と竹流もそれについていった。一方残された他の3人はスケート組に向き直った。そして麗が口を開いた。
「では今から入場券などを買ってくるから、少し待っていてくださいね」
麗はそういうと小声で優一と零に言った。
「私が券を買ってくるので、子供達のこと見ててください」
「1人で大丈夫か?」
「うん。じゃあ、お願いします」
麗は小走りにかけだした。2人は子供達の様子を見ていた。いつものようにしゃべったり、じゃれあったりしていた。そんな子供達を見ながら優一は思った。
(よく疲れないよな。あれだけ歩いた後なのに)
ぼんやりとして待っていると麗が戻ってきた。
「これから中に入りますが、スケート靴を借りるとき大変なことになるので、それぞれに靴貸し出し券を渡します。失くしたら靴が借りられず、スケートができなくなるので気をつけてくださいね」
麗はそう言って、班長に班全員の券を渡していった。そして最後に優一と零に渡した。
「皆さん、券はありますか?ない人はいませんか?」
声は返ってこなかった。麗はそれを確認すると全員に言った。
「じゃあ、中に入ります。ついてきてください」
麗はスケート場の中に入った。優一は列の途中に、零は最後尾についた。中に入ると、麗が券を渡し、次々と中に入っていった。ベンチに荷物を置くと、靴を借りにいった。混乱を招かないように、一班ずつ窓口に向かった、麗達3人は最後に借りにいった。その後、少し厚着をして、早速スケート靴を履いてみた。スケート靴を履くのが初めての者が多く、とても大変なことになった。
「ここをこうして…あれ変だね」
「うまくできない。手伝って」
「ちょうちょ結びができないよ」
「履けたけど、歩けるかな。よいしょ…わあ」
うまく履けなかったり、立てなかったりで、3人はあっち行ったりこっち行ったり走り回った。結局全員が靴を履いて立ち上がったのは,約15分後だった。
「では早速滑ってみましょう」
麗の声にみんなはリンクに降りていった。しかし氷上のためにつるつる滑り、転んだり、壁につかまったりした。何より麗自身が壁につかまったままだった。実はスケートなんてことをしたことがなかったのである。うまく立てる者もいたが、多くのものは壁に引っ付いていた。優一は麗の手を取り、氷の上に立たせた。零はみんなのことを見て声をかけた。
「初めての人がほとんどのようなので、止まり方だけ最初に教えとくね。足をハの字型にして、外側に強くずらしてください」
そう言って零はお手本をして見せた。数人のうまく立てている子供達が真似をした。
「最初は手を離して滑るのが大変だと思うので、壁を伝って歩いてみて。手が届かなかったら僕達に声をかけてね。うまくできるようになったら、壁から離れて歩いてみて。そして歩けるようになったら、滑り方を教えるので僕達のところへ来てね」
子供達は返事をした。すぐに小さい子供達が2人の元に集まってきた。2人は子供達と手をつないで、歩く練習から始めた。
 一方そのころ、外組のほうは自然観察広場の中で、班ごとに自然観察を行っていた。赤木先生は班をそれぞれ見て回った。新矢と竹流も、子供達の質問を聞いたり、教えたりしていた。数分後、観察の終わった班が遊び始めた。追いかけっこしたり、木の実拾いをしたり、しまいには落ち葉を投げ上げたりした。赤木先生は子供達に言った。
「観察が終わって遊ぶときは、道具を片付けてからにしましょう」
その言葉で、子供達はきちんと観察道具をしまった。そして広場の中へ歩き出した。全員が遊びを始めると、赤木先生も一緒に遊び始めた。新矢と竹流も子供達とともに遊んだ。
 優一と零は、上手に歩けるようになった子供達に滑り方を教え始めた。
「両足をそろえて、片方の足を前に出しながら、もう片方の足を斜め後ろにける。このとき前の足に体重を乗せるんだよ。これを繰り返すと滑れるようになるよ」
零に教えられ、みんなは練習し始めた。そのうち、数人が滑れるようになり、1人で滑り始めた。
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